<高校野球岩手大会>◇13日◇1回戦

 この日開幕した岩手では水沢が盛岡農を4ー0で破り、創立100周年の夏を白星発進した。

 「100周年に甲子園」を合言葉に水沢ナインは一丸となった。相手の盛岡農も創立131年目。伝統校同士の開幕戦を落とすわけにはいかない-。プライドを胸に最速137キロ右腕のエース伊藤直道(3年)がエンジン全開。キレのある速球に緩いカーブを織り交ぜ散発4安打。9個の三振も奪い、試合をコントロールした。打線は6回、5安打の猛攻で一挙3得点し、試合を決めた。

 もう1つ合言葉がある。「キャプテンのために」。大会2週間前、死球を受けた新沼弘太主将(3年)が左手甲を骨折。抽選会だった1日が手術日。代理の伊藤直が開幕戦を引き当てた。出場できない新沼にとって最高のプレゼント。この日、一塁コーチとして鼓舞する主将に、開会式直後の多くの視線が注がれた。

 「やっぱり選手として立ちたかった。でも良い試合をしてくれた仲間に感謝です」と笑みがこぼれた。伊藤直も「あいつの分まで、おれが引っ張る」と断言。主将をもう1度グラウンドに立たせるため、初甲子園へ好発進した。【三須一紀】