<高校野球青森大会>◇14日◇2回戦

 弘前実が昨年準優勝でシード校の大湊を5-2で下し3回戦にコマを進めた。打線が4回までに9安打で5点を奪い、先発のエース立本隼人(3年)が6回2/3を9安打2失点(自責1)の力投でこれを守った。「公立の古豪」が、昨年4月就任の助川清隆監督(49)の指導のもと、14年ぶり6度目の甲子園を目指す。

 弘前実が地力を発揮した。前半に5点を挙げ、主導権を握った。つごう13安打。このうち三塁打1、二塁打5と長打力も見せた。春季県大会で敗れた(5-8)大湊に雪辱。勝利の瞬間、弘前実ナインの笑顔がはじけた。

 「本当はバントや細かい走塁など、いやらしい攻撃をしたかったが、みんなバットを振っちゃった」。助川監督は苦笑いを浮かべる。八戸西から駒大に進み、東都リーグ首位打者の実績を持つ。母校八戸西を東北大会3度出場などに導いたあとの昨年4月、弘前実に赴任。2年目を迎えてすっかりなじんだ。

 実は弘前実は因縁のライバルだった。助川監督は八戸西の左腕エースとして78年、79年と夏の決勝進出。いずれも甲子園を目前に涙をのんだ。79年は弘前実に2-4で惜敗。この日、今大会2回目の弘前実の校歌が流れたが、「実にいい校歌。あの時(79年)も流れたが、涙でよく聞こえなかった(笑い)」と振り返る。

 立本は「春は大湊に負けていたので、気合が入った。バックが点を取ってくれ、勢いをつけてくれた」とにっこり。シンカー、フォークなど多彩な変化球で打たせて取るピッチング。昨秋の県大会準々決勝では青森山田を相手に好投。1-2で惜敗している。ともに勝ち上がれば再び準々決勝で対戦となる。「それを目標にしてきた」。

 96年、弘前実が巨人・工藤隆人外野手らのメンバーで甲子園に出場して以来、青森では公立校の出場がない。打倒私立の切り札、弘前実が14年ぶりのひのき舞台へ、着実に歩みを進める。【北村宏平】