<高校野球西東京大会>◇16日◇3回戦

 「都立のダルビッシュ」の異名を持つ四商・及川貴将投手(3年)が、愛称通りの快投で成蹊に投げ勝った。日本ハム・ダルビッシュのように、スリークオーター気味のフォームからボールを左右に散らし、的を絞らせない。5種類の変化球を巧みに操り、6-5で逃げ切った。

 185センチの長身ながら細身。日本人離れした顔立ちも手伝い、このあだ名がついた。「ダルビッシュさんに申し訳ないです。自分は(ブレーブスの)川上投手が好きです」と苦笑いだが、エンジンのかかりの遅さも本家譲り?

 だ。2回に2ランを浴びるなど、3回までに3失点といいところなし。ところが、4回に味方の援護で1点をもらうと「味方が点を取ってくれていいムードになった」とスイッチが入った。10安打されながら、終盤は勝負球のフォークが決まり、9三振を奪った。

 うわさを聞き付け、スカウトも視察に来たことがあった。その試合で結果を出せず落ち込んだこともあったが、今は雑念はない。「最後まで投げきりたい。僕がゼロで抑えれば負けることはない」。最後の夏を、無心で完全燃焼するつもりだ。【森本隆】