<高校野球広島大会>◇17日◇1回戦

 如水館が連覇へ好発進!

 如水館は2年生ながら浜田大貴投手が10奪三振の力投で6回3安打無失点。バットでも公式戦初安打に3点三塁打と大暴れし、竹原を9-0(7回コールド)で下した。

 連覇への船出は浜田の奪三振ショーだった。先頭打者を見逃し、次打者も空振りで連続三振スタート。2回表に金尾元樹内野手(2年)の先制バックスクリーン弾で援護を受けると、その裏は圧巻の完全ピッチを披露した。竹原打線を3者連続三振。それもすべて3球で奪った左腕は「調子が良かった」と笑った。3回にも2奪三振で5者連続「K」。決め球はすべて直球だった。

 浜田はバットも絶好調だ。OBで昨年の主将・有山卓から「オリックスT-岡田選手のようにノーステップ打法が良い」との助言を受け大会に臨んだ。「球が良く見える」と、3回に公式戦初安打をマーク。さらに6回1死満塁の好機で右越え3点三塁打を放った。「浜田のヒットは見たことがない。投球にも良い影響を与えたよ」と迫田穆成監督(71)に言わしめた。打線も奮起し、7回に打者一巡の猛攻で試合を決めた。

 父の背中を追い続けた。浜田の実家は愛媛県宇和島市。眼前には瀬戸内海が一面に広がる。3歳になると、真珠養殖業の父晃さん(46)が仕事で使う10メートルほどの船に一緒に乗り込んだ。荒波が体幹を鍛えた。父がコーチを務めていたソフトボールチームに入り、投手としての基礎を築いた。「とにかくやんちゃだった」(晃さん)少年が、今では会う度に「顔つきが違う」と父親も目を細める。

 昨夏の甲子園では、高知と大会史上初の同一カード2試合連続ノーゲームからの3試合目に負け、初戦敗退。ノーゲーム2試合を2-0(3回裏)6-5(5回表)で制していたが雨に泣いた。今大会の5日連続雨天順延を「プラスに作用した」と指揮官は言う。背番号「1」の池内昌平投手(3年)が、左足に入ったウイルス除去のため7月1日から5日間、緊急入院していたからだ。

 浜田は「丸子と対戦したい」と言う。今春センバツで甲子園アーチを放った広陵の怪物だ。19人を起用しての初戦突破に「大きな収穫」と名将は目を細めた。浜田含め登録20人中7人がマウンドに立てる能力を秘めている。荒波も逆風も乗り越え、力を結集して甲子園に突き進む。【佐藤貴洋】