橘に本番前の最後のカミナリが落ちた。第92回全国高校野球選手権が7日、甲子園で開幕する。大会2日目第1試合に登場する常葉学園橘(静岡)は6日午後、大阪・住友総合グラウンドで守備の実戦練習を行ったが、エース長谷川彦(3年)が2本塁打を浴び、守備でもミスが見られた。黒沢学監督(33)は練習後、選手を集めて青空ミーティングを行った。

 黒沢監督は練習後に急きょ、選手を芝生の上に座らせた。守りでミスがあった。投手への声掛けが少なかった。約15分間「戦闘モードに入っていかないとダメだ」と野手に厳しく、集中力の欠如を指摘した。だが、もっとも反応したのは長谷川彦投手(3年)だった。「監督は野手に言っているけど絶対、自分が言われている。監督に何も言わせないくらい、やらなきゃダメ」と受け止めた。

 守りの実戦練習。マウンドに立ったのはエースだった。2日の大阪入り後、初めて打者と対した。21人を5安打に抑えたが中盤に伊藤圭(3年)渡辺史典(3年)に連続本塁打を浴びた。特徴を互いに知り合い、中堅100メートル、両翼90メートルという狭さもあったが「打たれるのは何かが悪い。コースが甘い」。練習後もブルペンで、納得いくまで投げ続けた。

 北大津は「ウナギイヌ」の異名を取る変則右腕・岡本拓也投手だけでなく、打線も強力だ。主砲の小谷は高校通算42本塁打、6番中村も36本を数え、ほかに2人が15本塁打を超えている。「マウンドに立ったら楽しむことしか考えない。マウンドに立つまでは苦しくてもいいと、前向きに考えています」。初戦前最後のカミナリも、勝利への糧ととらえた。【今村健人】