仕事柄、ほぼ毎日エンゼルス大谷翔平投手(29)の投打をテレビで見ている。
メジャーリーグで誰よりたくさん本塁打を打っているし、規定投球回以上では最も被打率が低い。27日のタイガースとのダブルヘッダーでは、1安打完封&2本塁打という、人間のできるパフォーマンスの限界に到達している感覚になった。投打ともに空前絶後なのだが、毎日見ている人間としては、大谷の最大のすごさは走塁にあると思っている。
大谷は凡打でも走る。スタットキャストには「スプリントスピード」という数値がある。今季、DHとして出場している打席で、アウトになった時の平均一塁到達タイムは5秒46。全DH選手の平均は5秒81なので、0秒35の違いがある。大谷は今季、秒速29・9フィート(9・11メートル)で走ったことが4度あるので、これに当てはめると0秒35では3メートル14センチの差が出る。
19年6月17日の父の日には、父徹さんから教わった最も大事なことに「初歩的なことかなと思います。一塁に走るとか、そういうこと」と答えている。全力疾走が体に染み付いている。私事だが、先日、少年野球で投ゴロを打って一塁まで全力疾走しなかった小学4年生の息子には注意を与えた。
だが、ここにきて少々考えが変わってきた。大谷は7月27日のダブルヘッダー第2試合で、2打席連続本塁打を打った後、けいれんのため代打を送られた。28日の試合では3打席連続アーチを放ったが、9回の打席では両足ふくらはぎのけいれんで代打を送られた。メジャーレベルでは他に誰もやっていない投打二刀流で、体への負担は計り知れない。WBCから、欠場したのはわずかに2試合だけという蓄積疲労もある。暑さもある夏場は、全力疾走を控えた方がいいのではないかと思い始めた。
ここ数年、夏は異常気象といえるほど暑い。明らかに10数年前とは環境が変わっている。幼少期から大事にしていたことを変えるのは難しいし、メンタル的にしない方がいいのかもしれない。それでも、度重なる「けいれん」は体が悲鳴を上げているように思えてならない。投打の柱だけに、長期離脱を避けることが、悲願のプレーオフに近づく最善策ではないだろうか。【斎藤直樹】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「斎藤直樹のメジャーよもやま話」)





