3月29日(日本時間30日)に開幕したメジャーの公式戦が、9月30日に終了しました。雨天中止の代替日として10月1日に予定された「パイレーツ-マーリンズ」の1試合だけは、両軍が「ポストシーズン進出に無関係」という、極めてビジネスライクな理由で実施されませんでしたが、他の28球団はすべて162試合を消化しました。

しかも、ナ・リーグ中地区ではブルワーズとカブス、同西地区ではドジャースとロッキーズが同率で並んだため、翌10月1日に「タイブレーカー」として163試合目が行われました。 今シーズンは、特に開幕直後の4月に全米各地が大寒波や豪雨などの天候不順に見舞われ、試合中止が続出。それでも、当初の予定通り、1試合を除いてほぼ全日程を消化したのですから、お見事という以外にありません。というより、メジャーでは、ポストシーズンまでに全日程を終えることが当然のこととして認識されています。

たとえば、春先は厳寒、夏は酷暑と強風で知られるシカゴを本拠地にするカブスの場合、日程消化は過酷を極めました。4月は降雨と寒波が相次ぎ、5試合が中止となりました。その後も、気まぐれな空模様に悩まされ、結局、年間10試合が中止、またはサスペンデッドとなりました。もっとも、それらの試合を「メイクアップ」として組み入れ、最終的にダブルヘッダーを7回行うなどやりくりして、着実に消化しました。

たとえば、5月に16日間で17試合をこなしたほか、7月下旬からは21日間で22試合、極め付きは8月21日から最終戦の9月30日まで41日間で40試合という、超ハードな日程を消化しました。その結果、翌10月1日の同率決戦に敗れ、さらに同2日のワイルドカードでは、延長13回の死闘の末、散ってしまいました。終わってみれば、最後は43日間で41試合。2016年世界一の強豪にして、「力尽きた感」は否めません。

同じように、全国的な天候不順や地震、集中豪雨などの自然災害に見舞われた日本のプロ野球でも、試合消化の問題はクローズアップされています。とはいえ、CS出場権をかけた戦いに、そもそも10月11日に出場権の期限が設定されていること自体がナンセンスで、もし米国ファンに賛否を問えば、満場一致で却下されるはずです。シリーズ開催、運営上の問題があるのは理解できますが、早い時期から代替日を設定して、どんどん消化していくことはできないのでしょうか。日本球界でダブルヘッダーが「禁じ手」とされていることすら、かなりの違和感を禁じ得ません。

メジャーでは08年、ヤンキース-メッツの交流戦「サブウェイシリーズ」で、第1試合をヤンキースタジアム、第2試合をシェイスタジアム(当時)で同日に開催したことがあるほど、日程の消化は最優先されています。ついでに言わせていただくと、試合を追うメディアに、移動便や宿泊先の直前変更で多額の手数料が発生しバタバタすることなど、気に留めてくれる余地は皆無です。

各チームが常にチャーター機を手配するメジャーとは、選手の移動を含め単純に比較できません。ただ、あらゆるパターンのシミュレーションを繰り返していれば、試合を期限内に消化することは不可能ではないはずです。

最終的には、運営側の理屈ではなく、ファン目線に立てば、自ずと目指す方向が見えてくるような気がしてなりません。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)