現地15日、エンゼルス大谷翔平投手がMLB3度目の先発予定だったカンザスシティーでのロイヤルズ戦が天候不良により中止となった。現地は前日から雪で、零下となる厳しい寒さが原因だ。日本を含む多くのファンが大谷の登板を見られず落胆したようだ。

 ただ天候不良はこの試合に限ったことではなく、今季のMLBを悩ませる問題となっている。実はこの15日だけでもデトロイトでのヤンキース対タイガースやクリーブランドでのブルージェイズ対インディアンスなど5試合が中止となっているのだ。開幕から17日までで25試合が中止となっており、これは4月まででは2000年以降で2番目の多さだ。しかも4月はまだ10日残っている。

 さらに中止にならなくても、悪天候の中で強行された試合も多々ある。6、7日にマリナーズのイチロー外野手が寒さの中でプレーしたツインズ戦のニュースを見た方も多いのではないかと思う。特に7日は午後1時11分の試合開始にもかかわらず気温は氷点下3度という極寒の中での一戦だった。

 こうした状況について全国紙USAトゥデーは15日、エンゼルス戦が中止になった際ロイヤルズのネッド・ヨースト監督は「2試合をのぞけば、どの記者会見でも(天候が)話題になっている。寒さだ」と愚痴っていたと伝えている。

 この寒さ問題はただ選手たちに厳しいだけではない。ビジネス面にも観客数の減少という悪影響を及ぼしている。雪の舞うボルチモアで行われた9日のブルージェイズ対オリオールズ戦の入場者数は7915人だけだった。これは試合が行われたカムデンヤーズでは2015年の無観客試合を除く最低記録である。またこの日シカゴで行われるはずだったパイレーツ対カブス戦は結局寒さにより中止になったものの、チケットは1万枚ほどしか売れていなかった。もっともこの日マイアミで行われたメッツ対マーリンズ戦は快晴で気温28℃という天候にもかかわらず7003人しか入らなかったのだが。

 いずれにせよこうして”中止”とされた試合は実際には延期であり、改めてスケージュルが組まれている。例えば15日のエンゼルス対ロイヤルズ戦は6月25日に行われる予定だ。つまり延期が増えると疲れが溜まってくる夏場に、休みがなくなったりダブルヘッダーが多く組まれることになってしまうのだ。それだけ選手にとって厳しいシーズンとなる可能性が高まっているのである。スライド登板がなければ、大谷が17日のレッドソックス戦でKOされることもなかったかも、と嘆いているばかりではいけないかもしれない。