MLBが相次ぐサイン盗み疑惑の対応に追われている。現地7日にスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」が報じたのが、ワールドシリーズ制覇を果たした2018年のレギュラーシーズンにレッドソックスが映像機器を使ってサイン盗みを行っていたというもの。

レッドソックスは審判の判定にチャレンジすべきかどうかの判断に活用するために映像を再生するリプレー室で相手のサインを解析、ダッグアウトにいる人物がベースランナーに球種を伝え、ベースランナーが身体の動きで打者にそれを伝えていたという。同記事によればプレーオフ中はリプレー室にMLBがモニター要員を配置していたため、サイン盗みが行われたのはレギュラーシーズンだけだったと複数の関係者が証言したとのことだ。レッドソックスは同サイトに対し「最近になってビデオリプレールームの不適切な使用を示唆する申し立てを知りました。これらの申し立てを真剣に受け止め、問題を調査する際にMLBと完全に協力します」とコメントしている。

MLBは「コミッショナーは2017年9月15日付で、今後、電子機器の使用規約違反と映像リプレー室の不適切な利用が起きた場合は深刻に受け止めるとの通知を、各球団に行っている。疑惑報道を受け、われわれはこの件の調査に入る」という声明を発表した。

ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは17年にレッドソックスがヤンキース戦でリプレー室から「電子的コミュニケーション」を通じてベンチのスタッフに情報を送ったとして罰金を科している。その際、今後このような違反が発生した場合は、ドラフト指名権の剥奪を含むさらに厳しい処分になる可能性があるとしていた。

そして新たにその処分を下される可能性が出来てきたのがアストロズである。11月にやはり「ジ・アスレチック」が2017年にアストロズがビデオカメラを使って相手捕手のサインを盗んでいたと報じたのをきっかけに調査が進んでいた。

スポーツ専門局ESPNによれば、3人の選手が面談を受けたものの処分の対象になっておらず、フロントオフィスとコーチ陣、およびチーム職員が対象になる見込みだという。処分の内容だが同記事では出場停止、さらには永久追放の可能性もあるということだ。こうもサイン盗み疑惑が続くとMLB全体で横行していることを示唆することにもなってしまっている。MLBがどのような基準でどのような処分を下すかをはっきりと示すことが重要になるだろう。