【テンピ(米アリゾナ州)15日(日本時間16日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(27)が、4カ月ぶりに公の場で肉声を届けた。キャンプ2日目はブルペン入りして24球を投げ込み、16日(同17日)のライブBP(実戦形式の投球練習)登板に備えた。練習後の会見では謙虚さと自信を兼ね備えたコメントが満載。大リーグ5年目の開幕戦は4月7日(同8日)の予定。日本帰国後の昨年11月15日以来の会見で、大谷節が満開となった。

大谷翔平今年の目標「まずは全員、健康でフルシーズン戦うということ」/一問一答>>

▽謙虚

謙虚な姿勢は5年目も変わらなかった。二刀流でのプレーに背水で臨んだ昨季と比べ、気持ちの面での違いについて、大谷は「2つ(投打で)やる、やらない関係なく、どの選手も毎年入れ替わりも激しいですし、レギュラーの保証もないので。毎年、毎年、スプリングトレーニングからしっかりと結果を出しに行く、そういう気持ちを持って頑張りたい」と言った。昨年、二刀流でシーズンを完走。驚異的な結果を残し、満票でMVPも獲得した。当然、投打の主軸となるが「去年の成績が今年残る保証もないので、しっかり気を引き締めて頑張りたい」。精神面でも隙はない。

▽淡々

周囲の盛り上がりをよそに、淡々とした返答。これがもはや、安心感すら与える。昨季の大活躍で、今やMLBの顔にまで成長した。だが「去年の1年で特に変わるということはないですけど、いい活躍を長く続けるということが一番大事なことなので」と冷静に話した。今後の二刀流について「長期的に見て、1年でどうこうなるとか、大きく変わることはない。5年、10年見た中でしっかりと続けていきたい」と語った。「継続できるようにというのが、まず一番」。メジャーでシーズン完走は過去4年で1度だけ。ここから、真価が問われる。

▽意欲

目標は高く、意欲も十分だ。今季は開幕投手の最有力とされる。「やってみたいなというのはもちろんある」と心境を明かした。サイ・ヤング賞についても「取りたい気持ちはありますし、1年間しっかり出ないと見えてこないので。欲しい、欲しいだけでは取れない。やらなきゃいけないことをまずはしっかりやることが大事」と語った。

今季からナ・リーグがDH制になり、両リーグで採用される。「出場できる機会が増えるので、個人的に考えればいいことかなと思います」。プレーオフ(PO)進出は10から12チームに拡大されるが「ギリギリで出るよりは、地区優勝狙ってチームが勝って(POに)出ることが理想的」。開幕まで残り3週間と調整時間が限られる中、「年明け、その前から(準備を)しっかりやってきている。スタートの一発目から100%で行けるようにしたい」とやる気をみなぎらせた。

▽自信

謙虚な一方で、5年目の風格から自信も漂う。「フィジカル(身体的に)は既に去年よりいい状態でここまで来ているので、そこも引き続き改善したい」。体重は昨年と変わらず102キロだが「(ウエートトレーニングで)上げる重量だったり、体の強さみたいなものは年々上がっていると思う」と手応えを口にした。故障明けの昨年とは違い、体の状態に不安は少ない。投手としての今季のテーマは「1年間しっかりローテーションの1人として投げ抜くこと。(登板の)数が増えれば、いい成績が残るかなと思う」。昨年から得た自信とともに、ポジティブ思考も健在だった。

▽変化

向上心は底知れない。マドン監督からは昨年同様のパフォーマンスを求められているが「去年と同じようにやろうと思ったら、なかなか難しい。そういう成績は残らないと思うので、もっともっと上を目指して頑張りたい」ときっぱり。オープン戦は18日(同19日)から18試合の予定。この日はブルペンで24球を投げ込み、翌日のライブBP登板に備えた。投球を受けた捕手によれば直球、カットボール、ツーシームの3球種で、ツーシームなら新球種。トップクラスの成績を残しても年々、投打で変化と改善を重ねる。野球少年のようなマインドは、やはり変わっていない。