日本ハムからポスティング制度を利用して米移籍を目指としていた上沢直之投手(29)が交渉期限の11日午後5時(同12日午前7時)までに、レイズとマイナー契約で合意した。球団が発表した。春季キャンプには招待選手として参加し、メジャー昇格を目指すことになった。

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スラリとした長い手足に長いマツゲ。スタイル抜群の上沢は、取材対応も丁寧な「記者たらし」だ。初めて日本ハムを取材する記者は、みんな驚く。「上沢選手って、いい人だね」と。

野球では探究心が強い。新しいことへの挑戦が大好き。変化球も多彩だ。6年ほど前だっただろうか。「ボールが高めに行っていたら、ダメっていう人が多いでしょ。僕は、そう思わない。あえて高めに投げているんです」。技術論になると夢中になって、ついつい早口になってしまう。ハッとさせられることが多いから、記者はみんな話を聞きたがる。思慮深く、頭の回転が速いのだ。

ドラフト6位と、高卒時は決して評価が高かったわけではない。翌年には、あの大谷翔平(現ドジャース)が入団してきた。学年は上沢が1つ上だが、早生まれで大谷と同じ94年生まれ。大谷の初めての春季キャンプでは同部屋で、いわゆる「教育係」のようなものだった。優しく明るく育ちがいい上沢に、大谷もよく懐いた。

昨年7月、MLBの球宴で「大谷オンライン観戦記」をお願いした。「自分が実際に対戦することがあったら、思い切り打たれてみたいな」と、ちゃめっ気たっぷりに笑っていたっけ。日本ハムに入団してから芽生えた、メジャーへの夢。大谷だけでなく、田中賢介(現日本ハムSA)や有原航平(現ソフトバンク)と、米球界入りしたものの帰国せざるを得なかった仲間の姿も見てきた。厳しい世界であることは百も承知。大谷とのガチンコ勝負が実現する日を、日本ハムファミリーは楽しみに待っている。【中島宙恵】