<ワールドシリーズ:ジャイアンツ3-1レンジャーズ>◇第5戦◇1日(日本時間2日)◇レンジャーズボールパーク

 サンフランシスコ・ジャイアンツが、テキサス・レンジャーズを4勝1敗で下し、1954年以来56年ぶり6回目の世界一の座に就いた。

 MVPのトロフィーを受け取ると、ジャイアンツのエドガー・レンテリア内野手(35)の目から涙がこぼれた。打率4割1分2厘、2本塁打、6打点。文句なしの受賞だった。「信じられないよ。これが人生なんだ」。メジャー15年目の大ベテランが、万感の思いに浸った。

 勝負強さは健在だった。0-0で迎えた7回2死二、三塁。カウント0-2、レ軍の左腕リーの決め球カットボールに狙いを定めた。「カットボールを内角に投げてきたが、あまり曲がらず、真ん中に入ってきた」。敵地に悲鳴が響く中、左中間最前列へ飛び込む決勝3ランとなった。

 苦しみだらけの1年だった。マーリンズ時代の97年、Wシリーズ第7戦で世界一を決めるサヨナラ打を放ち、コロンビア出身の22歳の若者は一躍、全国区となった。その後は、球宴出場5回、ゴールドグラブ賞2回などスターとして活躍。ところが、今季は故障者リストに3回入り、引退の危機と隣り合わせの毎日だった。「(引退は)いつも考えてた。でも、今回はやるべきことだけに集中した。それがうまくいったね」。世界一とMVP。現役続行を決定付ける、最高のエンディングだった。