あるぞ、遊撃スタメン! ソフトバンク本多雄一内野手(30)がロッテ戦に「1番遊撃」で先発出場し、ファインプレー&マルチ安打でいきなり結果を出した。遊撃の守備は公式戦では途中出場の1度だけ。先発では06年のオープン戦以来となった。工藤公康監督(51)はシーズン中の先発起用を示唆。今宮の「聖域」でも競争をあおった。

 本多が「聖域」と思われていたポジションに、くさびを打った。ロッテ戦に1番遊撃で先発起用。さっそく見せ場がやってきた。2回にクルーズの飛球をジャンピングキャッチ。「あのプレーで乗っていけた。思ったよりも打球に反応できた」。ゴロも1つさばき、5回裏からは二塁の守備に移った。上々の試運転だった。

 今宮の負傷離脱時を想定し、リスクヘッジの役割に本多が指名された。アマ時代は遊撃を守っていたが、プロではほとんどを二塁で過ごしている。公式戦では12年に試合途中に遊撃を1試合守っただけ。先発となると、ルーキーイヤーの06年オープン戦以来だ。「初めてに近いですよ。景色が違うことが一番心配だったけど、最初にしてはよかった」。初体験とも言っていいが、試合前の練習では遊撃の位置でノックを受けることもあった。その経験が生きた。

 単なるバックアップに終わらない可能性が出てきた。工藤監督は本多の遊撃スタメンに興味を強く示した。「あるかもしれない。久々で緊張していると言いながら、あれぐらいの動きで打つ方でも結果を残してくれる。どこでもやるぞ、という意気込みを感じるし、そういう気持ちを大事にしたい」。遊撃は今宮が2年連続でゴールデングラブ賞を受賞した「聖域」だ。指揮官は「しのぎを削る場所になれば…。答えを出してくれる選手を使っていきたい。今宮がどう考えて、頑張るか。ポジションは与えてもらうのではなく奪うという気持ちでやってほしい」と競争をあおった。

 本多は9回に決勝タイムリーを放つなど2安打。さらに2四球で4度出塁し、1番打者としてもアピールした。「四球を2つ選べたことがよかった。9回はバットも抜けてくれて、しっかり振っていけた」。複数ポジションを求める工藤監督の思わぬ副産物になるか。遊撃本多がチームをさらに活性化する。【田口真一郎】