無念! 防御率0・00で負けた! 楽天が、日本ハムとの開幕戦に敗れた。3年連続で開幕投手を務めた則本昂大投手(24)が4回まで走者を1人も許さない完全な投球を見せるも、5回に連打と失策から3失点。6回を投げて4安打7奪三振で自責点は0だったが、初黒星を喫した。しかし大久保博元監督(48)は敗戦を気にせず、今日28日の第2戦での勝利へと切り替えた。

 一瞬のほころびで、白星がするりとこぼれ落ちた。1-0でリードしていた5回。無安打投球を続けていた則本の球が上ずり始めた。連打を浴び迎えた1死一、二塁。日本ハム近藤に148キロ内角高めの直球を再び中前へはじき返された。内野の失策も絡み、走者2人が生還し、逆転。続く谷口には右翼へ犠飛を許し、3点目を献上。流れを一気に渡してしまった。「踏ん張らなければならないところを、踏ん張れなかった」と振り返った。

 開幕勝利に誰よりもこだわっていた。杉浦忠投手(南海)以来、55年ぶりの新人から3年連続の開幕投手。「1年で12人しか立てない場所。先発投手として、もちろん狙う」と意識した。キャンプからは下半身と右肘の張りがあり、出遅れた。しかし、焦らなかった。「開幕に合わせるためにやっている」と万全の状態で上がることだけを考えた。ゲン担ぎもした。開幕前夜にはスパイクやグラブ、野球道具を磨き上げ、心を穏やかにした。「マウンドに上がるまでに、出来ることは全て済ませたい」と、やるべきことはやり尽くした。

 だが、気持ちが裏目に出た。4回までは球のキレも抜群。高村投手コーチも「大谷より空振りが取れていた」と話すほどで、完全試合すらも予感させるほどの出来だった。失点はしたものの自責は0点で防御率は0・00。何とも悔しい敗戦に「5回が全て。開幕戦で思ったより力が入る部分があった。甘いところがあった」と自らを責めた。

 それでも大久保監督は則本をほめた。「気にすることのない敗戦。80球をめどに変えるつもりでいたし、予定通り。十分に投げてくれた」と前を向いた。まだ143試合のうちの1試合。開幕カード残り2試合を勝ち、貯金を作って仙台に戻る。【島根純】