エースの復帰が見えてきた。右肘手術の影響で開幕戦を回避したオリックス金子千尋投手(31)が13日、神戸第2球場でシート打撃に登板。ヘルマン、坂口、谷、川端に実戦想定の「3イニング」で51球を投げた。昨年11月の手術以降、打者を相手に投げたのは今回が初めて。肘の状態にもよるが、今月中の1軍初登板も十分にありそうだ。最下位に沈むチームには朗報となった。

 出遅れていた金子が大きな1歩を踏み出した。昨年ともに最優秀バッテリー賞を受賞した伊藤との予行演習。引き締まった顔から手ごたえが伝わってきた。

 「先のことは分からない。まず今日は投げること。思い描いている球もあったし、そうでない球もあった。試合になれば打者の集中力も変わってくるので、今日は打者がどう感じるかより、自分がどう感じるかだった。違和感なく投げられたのが良かった」

 マウンドに上がると球場を流れる音楽が止められ、試合のような緊張感に包まれた。内外野に守備はいないが、打者ごとにカウントをとった。回を終えるとベンチに戻り給水。実戦さながらの練習だった。

 最速は145キロ。スライダー、チェンジアップなどすべての変化球を交えた。味方に内角へ投げづらい中で4人全員から三振を奪い、外野にいい当たりをほとんど飛ばさせない“快投”。セットポジションからは走者もイメージしてクイックや、首振りや目線でのけん制も加えた。

 2月キャンプでブルペン投球を開始も、肘の不安があり開幕戦を回避した。その後はリハビリに戻って状態は一進一退。約2週間前にブルペン投球を再開していた。肘の現状について金子は「見てもらったら分かると思う」と、不安はほぼ取り除かれたようだ。

 今後は首脳陣とも相談してスケジュールを決める。シート打撃再登板か、2軍での実戦復帰か。福良ヘッドコーチは「本人がいけるとなったら」と、ぶっつけ本番での初先発の可能性も示した。チームの救世主になれる沢村賞右腕の復帰が近づいている。