「野球医療最前線」は5月の肘編に次いで、今回の肩編が2回目となる。今回はプロ野球界から絶大な信頼を置かれる、船橋整形外科病院・菅谷啓之肩関節肘関節センター長(55)横浜南共済病院・山崎哲也スポーツ整形外科部長(54)と、現役時代腱板(けんばん)修復手術を経験しているヤクルト石井弘寿2軍投手コーチ(38)の3人を取材。文字に起こした分量は合計3万5646字、新聞原稿換算にすると3ページ分に値する分量に及んだ。

 普段の野球とは違い、慣れない医療系の原稿を書くため、これを何度も読み込んで理解するのに、とてつもない時間を要した。エッセンスだけを抽出し、できるだけ分かりやすく書いたつもりだが、どうだろうか。

 肩は構造が、肘よりはるかに複雑だ。特に野球選手の腱板損傷手術は、まだまだ発展途上で世界的にも完全復帰の率は低い。そのあたりを詳述したので、ぜひとも新聞で一読いただきたい。

 今回の取材中、昔から気になっていた件に納得がいった。「両肩を結んだラインより肘が下がった状態で投げると肩を痛める」といううわさだ。両腕を左右に広げ、利き腕の肘をラインより下げ、手首を上に向けた状態で背中側に手首を倒してみると、ラインより上に肘がある状態より、倒しにくいはずだ。肩甲骨の可動域が体感できる。肩甲骨の動きは、肩の故障を避けるために非常に重要なので、ぜひ1度お試しあれ。【斎藤直樹】