責任の3位死守だ。今日21日の3位決定戦メキシコ戦(東京ドーム)に臨む侍ジャパンの小久保裕紀監督(44)が20日、最後まで勝利にこだわる決意をあらためて示した。前夜の準決勝・韓国戦は勝利目前の9回に4失点し、逆転負け。自身の継投ミスを敗因と認めた。初代王者への道が断たれ、日本列島が落胆に包まれた。今大会最後の一戦を勝利で締めくくり、侍の戦いざまを見せる。

 まさかの逆転負けショックが残る東京ドーム。3位決定戦を前に、小久保監督は言い切った。「明日は勝てるリレーをする」。先発は武田、2番手には菅野を構える。終盤に起用する投手の具体名は明かさなかったが、見開いた目には、同じ過ちは繰り返さない決意がにじんだ。

 継投失敗でついえた初代王座への道。「あまり眠れませんでしたが、自分の中で消化しないといけない」と、あらためてミスはミスと認めた。宿敵韓国を7回まで1安打無失点に抑えた大谷に代え、8、9回を則本に託した。相手に傾いた流れを止められなかった後手後手の継投策。そして中継ぎ専門の投手を招集しなかったメンバー構成。全てを「俺の責任」と背負ったが、ファンの消沈ぶりは大きかった。

 皮肉にも、平均視聴率は今大会最高の25・2%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録。球場には4万258人が詰め掛けた。勝利の瞬間を見届けるはずの期待感が、一転して落胆に変わった。試合後からは、オークションサイトに売れ行き好調だった決勝戦のチケットが多数出品されたことも、その表れだった。

 小久保監督が繰り返した「責任」の言葉。ファンの大きな失望感は、簡単には払拭(ふっしょく)できないが、全力を傾けるしかない。青学大時代、大学生でただ1人選出された92年バルセロナ五輪。前夜と同じ準決勝で台湾に敗れた。「翌日の銅メダルかけた戦いはきつかった。でも勝つことが大事だった」。米国に勝利した、複雑な心境を振り返った。

 今日の一戦への姿勢も変わらない。「勝ちにいきます。昨日のあの時点で投げていた投手、守っていた野手、ベンチの選手、みんなが十分味わった一発勝負の怖さは、明日も変わらない」と力を込めた。

 17年の第4回WBCまで残る監督契約。「責任」を取る場は、そこしかない。小久保監督は「この大会が彼ら(選手)の中でいい財産になってほしい」と言い聞かせるように言った。3位は、誰も納得できない結果。それでも、落胆したファンが光明を見いだせるような戦いで、勝つしかない。【佐竹実】