日本ハムのドラフト1位明大・上原健太投手(21)が、「最速151キロの角度ある速球」「多彩な変化球」に続く、全国トップクラスの隠れた“武器”を披露した。21日、札幌市内の北海道庁赤レンガ庁舎で、新入団選手発表会見に出席。背番号20のユニホーム姿をお披露目するとともに、報道陣には得意のカラオケをアカペラで熱唱し、美声と度胸のよさをアピールした。

 甘いマスクから、高音域も苦にしない美声が飛び出した。上原のアカペラが、国の重要文化財でもある道庁赤レンガ庁舎の一室に響いた。「カラオケは得意です。好きですね。(周囲には)『見た目にしては意外だね』って言われます」。190センチの長身から投げ下ろす最速151キロの速球、制球抜群のフォーク、スライダーはすでに一級品だが、全国トップクラスの隠れた才能が、まだあった。

 マウンド上と同じく、マイクを持っても「本格派」だ。この日も披露した十八番は、三代目J Soul Brothersの「LOVE SONG」。仲間内では週に1度程度カラオケに足を運ぶといい、採点モードでは、同曲で「93・75点」の高得点をたたきだした。オンラインランキングでは「全国3位」の実績も。業務用通信カラオケ最大手の某メーカー担当者も「90点以上を出すのはなかなか難しいです」と、ドラフト1位の“実力”には驚きの声を上げた。

 球界では過去、広沢克実氏が阪神在籍時に、甲子園のお立ち台で「六甲おろし」を熱唱したことがある。当時小学生だった上原も「見ました」とそのシーンを記憶しているが、「できれば歌いたくない」と札幌ドームでの再現には消極的。それでも、この日は報道陣のアンコールに応えて一青窈の「ハナミズキ」も堂々と披露し、大投手に求められる度胸のよさは存分に見せた。「湘南乃風を歌ったりしたときは(意外性で)『マジか…』みたいに言われます。たまにはじけることもあります」。場を盛り上げるキャラクターも、プロ野球選手には必要な要素だ。

 歌唱力同様に、投球もリズムよく打者を打ち取る。東京6大学リーグでは、1年春から登板し14勝をマーク。左腕不足のチームにとって、救世主となりうる存在だ。明大の大先輩、楽天星野副会長の現役時代と同じ「20」を背負う。「先発ローテ入りが目標です。1日でも早く北海道のみなさんに認められ、チームの役に立てるように頑張っていきたいです」。勝利を積み重ね、日本一への道を描くアーティストになる。【本間翼】