佑ちゃんがパワースポットで、完全復活を祈念した。道内の各市町村の応援大使に任命されている日本ハムの選手が25日、各地でイベントを行った。斎藤佑樹投手(27)は近藤健介捕手(22)と、道南のせたな町へ。「日本一危険な神社」の異名を持つ太田神社を参拝。階段や山道が急勾配で、険しく危険とされる参道に途中まで挑戦するなど堪能。感性を揺さぶられ、来季への活力にした。

 勇敢なアドベンチャーに変身した。斎藤が突如、号令をかけた。そびえる太田神社を目の前に、冒険心がうずいた。「近藤、上るか」。足がすくむ平均斜度45度、全139段の階段へと足を踏み出す。転落防止のロープ、両サイドには鉄製の手すりが常備。せたな町、球団関係者らが「本当に? 危ないから」とやんわりとけん制したが、お構いなし。険しい山岳霊場へ、引き寄せられるように向かっていった。

 異名「日本一危険な神社」へ、挑んでいった。石段を越えると、その先は山道。ロープを命綱に、山の奥へ、奥へと分け入った。所要時間の都合で“登頂”は断念したが「近藤、上りたかったな」と後ろ髪をひかれた。腰が引けている周囲を尻目に、爽快に道南5大霊場の1つを、少しだけ味わった。「何か、いいですよね。あの感じ」と琴線に触れた。

 魂を揺さぶられ、スイッチを入れ直した。せたな町の小学生との交流。町民たちとも、トークイベントなどで親交を深めた。ストレートな温かい期待の声を掛けてもらい、奮い立った。「生の声を受けることはファームにいたらないので」。今季は中継ぎに一時、配置転換されるなど不完全燃焼の1年に終わった。「自分をよく見せようとか、そういうのではない」。なりふり構わず来季にかける。

 完全復活への道。右肩関節唇損傷後は、太田神社の参道のように長く、険しいかもしれない。「今日は幸せな気分になりました」。海鮮料理を食べ、ゆるキャラのセターナちゃんとも交わった。命の洗濯をし、リスタートへと気持ちを新たにした。今季終盤には、秘めた手応えをつかんだ。「継続していくことが大事」と誓った。インスピレーションも高め、理想の到達点へ歩んでいく。【高山通史】

 ◆太田神社(久遠郡せたな町) 日本海に面した断崖絶壁にそびえる太田山(485メートル)にある、北海道最古の山岳霊場。創立は、嘉吉年間(1441~43年)といわれ、享徳3年(1454年)松前藩の祖、武田信広公が太田に上陸した際に太田大権現の尊号を賜ったと言い伝えられている。山頂の本殿に行くには139段の階段を上るほか、ロープや鉄の鎖などを使っての険しい参道がある。