侍ジャパンでも4番を務めたDeNA筒香嘉智外野手(24)を分析。

 筒香が打率3割1分7厘、24本塁打、93打点と、打撃3部門でプロ入り最高の成績を残した。

 左打ちの筒香だが、左投手を全く苦にしなかった。対左投手は181打数67安打で打率3割7分。今季、セ・リーグの規定打席に到達した24人中、対左腕の打率は山田(ヤクルト)の3割4分7厘を抑えて1位だった。対ポレダ(巨人)が5打数4安打、対大野(中日)が15打数10安打など、セ・リーグ規定投球回をクリアした左腕には61打数30安打、打率4割9分2厘を記録し、エース級を打ち込んだ。70年以降、セ・リーグ左打者(規定打席以上)の対左投手打率は76年ホプキンス(広島)の4割6厘が最も高く、筒香の3割7分は8位。若松(ヤクルト)や松井(巨人)は左腕から打率3割7分以上を残せなかった。

 好機に強かった。得点圏打率がリーグ3位の3割4分4厘で、得点圏に走者を置いて打った本塁打は満塁2本を含めリーグ最多の12本あった。本塁打王の山田は38本のうち22本、2位畠山(ヤクルト)も26本のうち15本を走者なしで打っているのに比べ、筒香のソロは10本。走者なしより得点圏で1発を多く打った選手は珍しい。最近10年、両リーグでシーズン20本塁打以上した165人を見ると、得点圏の方が多いのは08年大松(ロッテ)と筒香の2人だけだ。

 外野守備も成長した。昨年は101試合守った外野で6失策(他に一塁で1失策)したが、今季は失策0の守備率10割。無失策だけでなく、送球で走者をアウトにした補殺が昨年の3個から10個に増えた。今季、外野手の2桁補殺は両リーグで筒香だけ。中継なしで直接送球の補殺が7個あり、これも荻野(ロッテ)と並び最も多かった。打撃が売りの筒香が、2リーグ制後の外野手では13人しかいない「守備率10割+リーグ最多補殺」を記録した。【伊藤友一】