守備も「超変革」の大胆秘策で首位取りや。金本阪神が今日26日から今季初の甲子園巨人戦を迎える。金本知憲監督(48)は5日からの東京ドーム3連戦に続くカード勝ち越しに決意をみなぎらせた。目覚めさせたくはない主砲ギャレットに対し、遊撃鳥谷らが右寄りに守る特別シフトを敷く構え。守りでも攻めて首位をうかがう。

 勝負の世界に生きる男らしく、甲子園で今季初となる巨人戦を控えた金本監督は言い切った。

 「東京ドームで勝ち越しているし、向こうは今度は敵地で勝ち越しと思っているだろうし。『そうはいかんぞ』というところやけどね」

 就任後、初対決だった5日からの3連戦は猛打を浴びせて2勝1敗。事あるごとに「カードの勝ち越しが目標」と話しており、雪辱に燃える由伸巨人を返り討ちにする覚悟だ。

 秘策がある。実は、今季から阪神の守備陣はチームスローガン「超変革」さながらに変化している。野手は相手打者の打球方向に応じて守備位置を微妙に変えるが、今年はさらに大胆なシフトを敷くのだ。

 東京ドームで標的になったのは4番ギャレットだった。左打席に入ると、遊撃鳥谷が定位置から二塁ベースの後方近くに移り、三塁ヘイグが三遊間に寄っている。全体的に右寄りに動いた。

 金本体制になり、守備の方針を一任されている高代ヘッドコーチは「データによって(守備位置を)変えようということ。(ギャレットは)プルヒッターだから。そういうデータも出ている」と説明した。ギャレットは大リーグでも、積極的に強振する一方で、三振が多いフリースインガーとして知られていた。3月のオープン戦で打球方向を収集。配球やボールカウントなども加味して、もっともふさわしい守備位置を取る。

 29日から対戦するDeNAの主砲筒香に対しても似た陣形を敷いている。平田チーフ兼守備走塁コーチが「(昨年までは)あそこまでは、やっていない」と話すように近年の阪神には見られない、思い切った守備陣形なのだ。久慈内野守備走塁コーチも「(筒香は)逆方向はフライになったりする。ゴロならあの位置」と説明する。球際を制するためにディフェンス面でも勝負に出ている。

 首位巨人を1・5ゲーム差で追う。金本監督も「今年は巨人、いいスタートを切っているから」とライバル視する。トップ浮上の可能性もあるが、意に介さない。「順位は全然関係ないし、本当に気にしていない。いま何位かも知らない」と指揮官。ライバル相手に、本拠地で打って投げて、そして守り勝つ。【酒井俊作】

<過去の極端シフト>

 ◆王シフト 広島は64年、親会社東洋工業のコンピューターを駆使し、巨人王の打球傾向を計算。内、外野手を大きく右に移動するシフトを敷いた。72年の阪急は巨人との日本シリーズで、王の打席で遊撃手の大橋を中堅の位置に入れ、外野を4人に。

 ◆ゴメスにシフト 巨人は14年5月10日阪神戦、ゴメスの5打席で、二、三塁間に二塁片岡、三塁村田、遊撃坂本と3人の野手を配し、二塁の定位置を無人にするシフトを展開。ゴメスは二塁打1本も、9回サヨナラ機に三振。

 ◆西岡にもシフト 巨人は14年7月11日阪神戦6回1死二、三塁で西岡に対し、左翼亀井が三遊間に、中堅松本哲が左中間へ動いた。内野を5人にし中堅の定位置はがら空き。西岡は無人のセンターに打ち返した。