甲子園を「自分の庭」にしたのは巨人だった。雨天で試合開始が30分遅れた。

 整備担当が、ぬかるんだ黒土に新しい土を盛る。グラウンドはさながらマーブル模様だった。初回1死一塁。甲子園を知り尽くす阪神の名手鳥谷が三遊間寄りのゴロに、わずかに足を滑らせた。普段とは違う「重馬場」であることは容易に想像させた。

 巨人守備陣も神経を払っていた。昨季ゴールデングラブ賞を獲得したクルーズは「雨は好きじゃないね。滑るから下半身への負担も大きい。いつにも増して集中するしかない」と気を引き締めた。村田も雨仕様のイメージを膨らませていた。「手首を使って投げると、指先で滑る可能性がある。手首を固めて、そのまま押し出す感じで」と引き出しの多さを示した。

 用意周到な巨人の守備網は堅固だった。5回、亀井がゴメスの左翼線の当たりで素早い二塁送球で刺した。8回無死一塁で三遊間を襲うゴロを坂本が併殺に持ち込むなど、5併殺を完成させた。阪神が3失策で自滅したのとは対照的だった。

 坂本は「思ったより大丈夫だった。さすが阪神園芸さん」と整備担当者に感謝した。高橋監督も「守備が攻撃につながり、田口が9回を投げ切れたのもそれが1番(の要因)」と最大の勝因を挙げていた。