GO! GO! ツツGO!! DeNA筒香嘉智外野手(24)がプロ野球史上初の3戦連続マルチ(複数)本塁打をマーク。最後は延長12回、右翼席に突き刺す今季2度目のサヨナラ弾で巨人を沈めた。1回に先制の中前適時打を放つと、6回には左翼席への27号ソロ。19日ヤクルト戦から2戦連続で2本塁打の勢いそのまま、3戦で6発を量産した。ホームランダービー独走状態だったヤクルト山田にも1本差と迫った。

 ホームランモンスター「ツツゴウ」が歴史を塗り替えた。その瞬間は試合開始から4時間15分を過ぎた延長12回1死。DeNA筒香が巨人山口のシュート気味の142キロ内角球を、火を噴くような弾丸ライナーで右翼席中段に突き刺した。本塁手前でヘルメットを高々と放り投げ、絶叫の輪に飛び込んだ。「引き分けだったら意味がない。チームメートに乗せられて打てた」と高揚感に浸った。

 セ界NO・1投手とのバトルにも圧勝した。1点リードの6回1死。巨人菅野の1ボールからの2球目、外角高めの148キロ直球にバットを合わせた。打った瞬間に、それと分かる一撃。逆方向、左翼席に吸い込まれるように着弾させた。「相手はリーグで一番良い投手。打てたのはたまたまです」と謙遜しながらも、「感触は良かったです。強い打球を打つことだけ意識していました」。大歓声を浴びながら、大記録に「王手」をかけた。

 前カードのヤクルト戦では2戦連続で2本塁打をマーク。本塁打争いで先を行くヤクルト山田の前で猛追態勢に入った。「今年は崩されないで我慢して、どこまで自分の打撃を貫けるか。それがテーマ」。好不調に左右されない打撃フォームが固まりつつある主砲から快音が続いた。昨年5月以来、自身3度目の3戦連発。3戦連続2本塁打はプロ野球史上初の快挙にも「毎試合、全力でやっている。今日は今日。明日は明日。その繰り返し。(記録は)あまり興味がないです」と、個人的な数字に意味は求めなかった。

 この日、世界中で話題の「ポケモンGO」が国内でも配信開始された。横浜スタジアム周辺にも、ズバット、オニスズメ、ニョロモなど多数のモンスターが出現。筒香は「ポケモンですか? 小さいときに親にゲームを買ってもらったことはある。でも、僕は野球の練習ばっかりだったので全部クリアしたことは1度もないですね」と苦笑い。モンスターよりも白球を追いかけた野球少年が、横浜スタジアムで最強モンスターと化して、“球史図鑑”に新たに名を刻んだ。【為田聡史】

 ▼筒香が自身2本目のサヨナラ弾を含む2本塁打。これで19日ヤクルト戦から3試合続けて2本塁打を放って3試合で6本の固め打ち。2試合連続3発の05年ガルシア(オリックス)を含め3戦6発は09年金本(阪神)以来6人、7度目。3試合連続2本塁打以上はプロ野球史上初。筒香は1試合2本以上のマルチ本塁打が今季7度目となり、7月だけで5度目。月間5度のマルチ本塁打は76年5月ブリーデン(阪神)に並ぶ記録だが、12日中日戦からの6試合で4度のマルチ本塁打も筒香しかやっていない。