Bクラス決定のいま、虎党の楽しみはこれだ! 阪神のドラフト1位高山俊外野手(23)が、球団の新人最多安打記録に“王手”をかけている。20日巨人戦は雨天中止となったが、残り6試合で98年坪井智哉にあと4本。更新の期待は高まる。オリックス時代のイチロー、広島、阪神の金本知憲ら名選手を見て、取材してきた高原寿夫編集委員が阪神のスタッフを取材。その能力に迫った。

 暗黒時代の阪神には「こいつ、よう打つな~」と思わせる選手はいなかった。98年に坪井が入団しようやくこんな男が出てきたか、とうれしく思ったもの。あれから約20年。その坪井の新人安打数「135」に追いつき、追い抜くところまで高山が来た。

 高山はなかなか面白い。クールで野球にマジメなのに、明らかなボール球に手を出し、それをまた安打にしたりする。内角の厳しい球にくるりと回転して打つ柔らかさに、バットコントロールが見ていて面白い。

 そんな高山の練習相手を務める打撃投手たちに聞くと、次々にビッグネームが出てくるのに驚く。

 渡辺伸彦(右投げ) なんと言ってもバットのヘッドが立って、そのまま出てくる。これが、なかなかみんな、できない。でも高山は入団してきたときからそう。形は現役時代の金本監督そのまま。よく似ているなと思っている。

 嘉勢敏弘(左投げ) タイミングの取り方が素晴らしい。始動も早く、着地もいい。左右の違いはあるけど谷佳知さん(オリックス、巨人)の柔らかい感じに似ていると思っています。イチローさんは別格なんで比較しませんが…。

 嘉勢が言うように、高山の得点圏打率が高いことがそれを証明している。日刊スポーツの「打撃成績」で1位が筒香の3割8分9厘だが高山はそれに次ぐ3割8分2厘。勝負強さが光る。一般に走者がいれば投手はクイックモーションをしたり、ボールを長く持ったり、打者のタイミングを崩そうとする。高山は新人ながら、それに対応している。

 新人年限定だが坪井の球団安打記録まであと4、猛打賞で言えば長嶋茂雄の14度にあと1と迫る高山。雨天中止になった20日は室内練習場で汗を流した。

 高山 1日1本を積み重ねていきたい。その先に記録がある。猛打賞は1本目がないと2、3本目もないですから。ずっとスイングを指導してもらい、打球が上がるようになってきて、長打が出るようになった。前半戦、左投手を打てなくて代えられて悔しい思いもしましたけど。(今の調子を)継続していきたい。

 発展途上ではあるけれど、真の中心選手を目指して高山の日々は続く。