マイナー生活は過酷だった。もちろん通訳はいない。「野球よりまず英語」と、ベンチでもブルペンでも、メモ帳とペンを常に離さなかった。年下の米国人のルームメートに1日1個、英単語を教えてくれと頼んだ。「『How are you?』の返しは何て言えばいい? ってレベルから」。英語のジョークで笑えるようになると、チームメートともコミュニケーションが取れるようになり、野球にも集中できるようになった。オハイオからボストンまでの13時間のバス移動も耐えた。鍛えられた順応力も武器の1つだ。

 今季31歳でのデビューから7戦目での初勝利。ファンに「オールドルーキーの村田です」と自虐的に自己紹介し、約束した。「まだ1勝目ですが、これから(勝利を)続けられるように頑張ります」。32歳の逆輸入右腕のプロ野球人生が花咲くのはこれからだ。【保坂果那】

 ▼メジャーでプレーした村田がプロ初勝利を挙げた。村田は08~10年の3年間巨人に在籍。メジャーからプロ野球に復帰して初勝利を挙げたのは66年4月12日村上(南海)以来、51年ぶり。62年に南海へ入団した村上は通算3試合、0勝で野球留学のため渡米。64、65年にジャイアンツでプレーし、南海復帰1年目に初勝利を記録した。

 ▼村田は32歳0カ月。プロ初勝利の最年長記録は47年9月28日浜崎(阪急)の45歳9カ月だが、ドラフト制後(66年以降)に入団した投手では00年7月18日柴田(近鉄)の32歳4カ月に次ぎ、97年5月27日野中(ヤクルト)に並ぶ2番目の年長初勝利となった。また、古巣からプロ初勝利は14年4月27日の巨人戦で記録した一岡(広島)以来。