サブちゃんの好投で連敗ストップ! 楽天福山博之投手(28)が阪神戦の7回、同点の場面で登板。1イニングを無失点に切り抜け、8回、味方の猛攻を呼んで今季3勝目を手にした。開幕から26試合目の登板でいまだに防御率0・00。どんな場面でもきっちり仕事をこなす福山なくして、今の位置はない。

 先頭打者にヒットを許そうが、今年の福山はひと味もふた味も違う。勝ち越しを狙う阪神は代打梅野に送りバントを指示。カウント0-1からの2球目、内角へのシュートがうなりをあげる。想像以上のキレに、梅野はよけながらバットに当ててファウル。追い込んだ福山は梅野を空振り三振に切ると、糸原、北條も簡単に打ち取った。

 「いつもと同じように、1人1人打ち取ることだけを考えました」。登板直前、味方が無死一、二塁の好機を3者連続三振で逃していた。異様に盛り上がる甲子園にのみ込まれるどころか、虎の勢いを押しとどめ、8回の味方の猛攻を呼び込んだ。梨田監督も「サブが頑張ってくれたのが8回につながった」と、ヒーローの1人に挙げた。

 今年の福山は開幕からキレキレだ。26試合、23回1/3を投げていまだに防御率は0・00。5月16日の日本ハム戦で1失点も自責はつかなかった。好調の要因について「なぜ(防御率が)ゼロかって言われてもわからない。今日もあまり調子は良くなかった」と本人はクビをかしげる。証言したのは与田投手コーチだ。

 与田コーチ 去年よりまっすぐに力があって、それを持続している。すべての球に威力があるから、安心して見ていられるね。試合の流れを変える役割をしっかり果たしてくれている。

 優勝するチームには福山のような「ジョーカー」的な存在が必ずいる。「チームが勝てばいいんです」。どこまでも謙虚なサブちゃんは、最後まで笑顔すら見せず、淡々と振り返った。【沢田啓太郎】