主砲が高級車も主役の座もかっさらった。日本ハム中田翔内野手(28)が、楽天8回戦(札幌ドーム)で今季初の1試合2本塁打で勝利に導いた。4回の9号先制2ランに続き、7回にダメ押しの10号2ランで、7年連続の2ケタ本塁打を記録した。リーグ戦再開のスタートを景気よく飾り、MVP賞の「ランボルギーニ・ウラカン1年間オーナー権」を獲得した。

 試合前からターゲットを定めていた。モチベーションを上げるには十分な光景だった。球場駐車場に並んだ高級車を眺めながら中田は「やっぱランボルギーニやな」。この日からスタートしたレジェンドシリーズを演出するために集められた東映フライヤーズ時代、50~70年代の高級車たちを楽しそうに見つめる心の余裕があった。

 これまで2台を乗りこなし「かっこいいし音が好き」と、ランボルギーニに目がない。MVP賞が推定3000万円のウラカンの1年間オーナー権とチェックも済ませていた。「乗り飽きてるのでね」とドヤ顔で言い放ったが、自身がCMキャラクターを務める企業がスポンサーの試合でちゃっかり、そしてしっかり役目を果たした。

 鮮やかなアーチを2度描き、勝利を決定づけた。4回無死一塁、140キロ直球を左翼席中段に先制2ラン。再逆転の4-3で迎えた7回には先頭大田の1発に続き、1死一塁からバックスクリーンへ打球を運んだ。ベンチでは矢野らとハンドルを握るパフォーマンスで喜びを分かち合って、はしゃいだ。白星も高級車もゲット。「強い楽天に土をつけてやろうと意気込んでいた」と、首位からの歓喜は格別だった。

 不調から栗山監督が就任した12年以降初めて先発4番から外されるなど、苦しむ姿も見せたが、今季初の1試合2発に「久々の感触で本当に気持ち良かった」。これで7年連続の2ケタ本塁打となったが「(達成が)遅い。まだまだこれから巻き返していけるように」と、決して満足はない。

 6月に6本塁打と上り調子で、チームは2連勝。唯一の悩みは「駐車場どうしようかな」とMVP賞の置き場所探し。すでに高級車を複数所有するため「家の近くで駐車場探してくれへん?」と上機嫌で報道陣に呼び掛けた。頼れる主砲が戻ってきた。【保坂果那】

 ▼中田が4、7回に本塁打を放ち、今季初の1試合2本塁打。札幌ドームでは今季3本目で、通算では60本。札幌ドームでの通算最多本塁打は稲葉が記録した59本だったが、この日の2発で中田が稲葉を上回り単独トップとなった。