いよいよ虎が崖っぷちに追い込まれてきた。低迷する打線はこの日の中日戦でも爆発せず、4安打1得点だけ。今季最長の連敗が「5」に伸び、首位広島とのゲーム差も今季最大「6」となった。過去阪神がリーグ優勝したシーズンでの逆転最大ゲーム差は「6・5」。ジェイソン・ロジャース内野手(29=パイレーツ3A)と大筋合意するなど、新助っ人補強を進めているが、得点力不足が顕著となってきただけに、大砲助っ人の早期来日に期待がかかる。

 金本阪神が長いトンネルにハマりこんだ。打線はこの日も停滞したままだった。中日鈴木に6回まで、たった2安打。7回に1点を返したが、押し出し四球によるもの。指揮官は1点を追う7回に桑原を投入するなど執念を見せたが、勝利には結びつかない。今季ワーストを更新する5連敗。首位広島とは6ゲーム差に開いた。試合後、金本監督は我慢の表情だった。

 「今が一番、底かな。1年の中で、そういう時期はどこのチームも絶対にあるし、今はそれが、ウチに来ているだけだろう。そう思うしかないよ」

 連敗の要因は攻撃力の低下にある。しかし打線に好不調の波はつきものだ。浮上のきっかけをつかむまで、粘り強く戦うだけ。指揮官は誰を責めることもなかった。「バント失敗もあったりしたが、それもひとつの流れとして、今が底かな。でもベンチもよく声が出ている。下を向いている選手はいない。みんな、前を向いてくれている」。ナインの士気は決して下がっていない。その感触が前向きな言葉を生んだ。

 打線の復調を待ちながら、新戦力の加入も視野に入れる。金本監督は初めて緊急補強に言及した。マイナーで通算83発を誇るジェイソン・ロジャース内野手(29=パイレーツ傘下3A)と大筋で合意。現在は細部を詰め、急ピッチで正式契約に向かっている。「まだ決まったわけではないけど…」と指揮官は前置きした上で、ロジャースの印象を語った。

 「デスパイネのような体形をしているね」

 金本監督は今回の外国人調査に際し「ちょっとだけね」と新助っ人の資料VTRをチェック。その時のイメージがデスパイネとつながった。185センチ、117キロの巨漢で、筋肉質なタイプ。ムッチリしたデスパイネよりも、さらに上背がある。ロッテとソフトバンクで通算72本塁打を記録するキューバの主砲のように大暴れしてくれれば、チームの苦境も打開してくれるはずだ。

 ロジャースとの契約交渉は最終局面を迎えている。本人は3Aで主に「4番一塁」で出場。実戦感覚が鈍るという不安要素はない。7月上旬の来日を目指しており、合流即1軍のプレーも可能だ。正念場に立つチームにとって、逆転Vの切り札加入が今から待ち遠しい。【田口真一郎】

 ◆ジェイソン・ロジャース 1988年3月13日生まれ。米ジョージア州出身。コロンバス州立大から10年ドラフト32巡目でブルワーズ入団した内野手。14年9月2日のカブス戦で大リーグデビューし、初ヒットを記録。15年オフにトレードでパイレーツ移籍。メジャー通算117試合、打率2割5分8厘、4本塁打、18打点。メジャーで最も多く経験している守備位置は一塁で、三塁手や左翼手の経験もある。今季は3Aで65試合、打率2割8分8厘、8本塁打、32打点。185センチ、117キロ。右投げ右打ち。

 ◆アルフレド・デスパイネ 1986年6月17日、キューバ生まれ。マニュエル・ファハルド・キューバ国立体育大から、04年キューバ国内リーグのグランマ入団。08年北京五輪、09、13年WBC出場。14年7月ロッテに加入、今季はソフトバンクに移籍し、いずれもパ2位の18本塁打、53打点をマーク。175センチ、95キロ。右投げ右打ち。

 ▼阪神は17日楽天戦から5連敗。今季最長連敗を更新してしまい、昨季8月26日ヤクルト戦~9月3日DeNA戦に7連敗して以来。

 ▼1位広島は勝ったため、首位とのゲーム差は今季最大の6となった。阪神がリーグ優勝を果たした5シーズンのうち、最大の逆転優勝は64年の6.5差。今日28日広島○阪神●なら“リミット”を超え7差となる。