広島が、4番鈴木の一撃で会心の逆転勝利だ。1点を追う8回1死一、三塁。決勝の逆転16号3ランを放った。一塁ベースを回る直前、ド派手に両手をたたいた。2度、3度と拳を握った。大歓声を独り占め。激しいハイタッチで喜びを爆発させた。「打席に入る前に大声援も聞こえた。結果が出なくても4番で使ってもらって、悔しさもあった。ホッとしたのもあった」。3連勝を呼んだヒーローは大汗を拭った。

 必死だった。代わったばかりの又吉に初球、内角低めへの投球で足もとを動かされた。「直球が速い。スライダーかどっちかに絞らないと。追い込まれたら負ける」と直球に絞った。2球目。内角低めに踏み込み、腕をたたんで芯に当てた。「思い切って振っていくので、お願いします」。打席前に5番松山に宣言していた通り、フルスイングで運んだ。

 結果を求めていた。「めちゃくちゃです」と笑ったのは1~3打席目。普段はスクエアに構える左足を極端にオープンにした。「なんとかしたいと思っていたら、勝手にああなってました」。4打席目は普段通りで「自然に戻っていた」。打率3割超えも、得点圏打率は2割台と、好機をつぶしていた。「何が何でも」の思いが劇弾につながった。

 チームは今季26度目の逆転勝利。貯金は今季最多の21。緒方監督も「カープの4番が試合を決めてくれた。頼もしく、成長を感じる」と目を細めていた。【池本泰尚】