楽天は伏兵の活躍で首位をキープした。ロッテ戦の同点の4回、2死満塁からプロ6年目の三好匠内野手(24)が、右前へ決勝適時打を放った。故障で離脱する茂木の代役が、きっちり仕事した。試合は台風3号の影響で6回表終了降雨コールド。負ければ首位陥落の危機だったが、天も味方して開幕からの定位置を死守した。

 九州男児の血が騒いだ。「絶対に決めるばい」。福岡生まれの三好は心の中でつぶやいた。1-1で迎えた4回2死満塁で、打席が回ってきた。二塁走者には、幼少期から憧れの松井稼が代走で入った。ベンチもここで、試合を決めると踏んだ。三好は「ここで、やらないと男じゃない」。自然と眉間にしわが寄った。カウント1-2からの4球目、外角低め146キロ直球を逆らわずに流し、試合を決める打球を右前へ飛ばした。

 最初は“仕掛け”が甘かった。第1打席はフォークを打ち損じ、一邪飛に終わっていた。「変化球は頭に入れて、来た球に対応しようと思っていました。結果が出て良かったです」と冷静な読みがあった。鬼の形相だった表情も、一塁上で満面の笑みと変わった。同学年でレギュラーの茂木が右肘の骨挫傷で2軍調整中で、代役として6月18日の阪神戦(甲子園)から遊撃のスタメンを張る。「茂木の代わりを務めることは大変。チームバッティングを意識しています」と武骨に仕事を果たした。