ソフトバンク柳田悠岐外野手(28)が豪快アーチで、奪首に貢献した。日本ハム13回戦(札幌ドーム)の3回に2試合連発となる22号2ラン。チームを5連勝に導き、この日敗れた楽天と入れ替わり、4月5日以来の首位に立った。セ・パ交流戦MVPに続き、「日本生命月間MVP」の受賞が発表されるなど6月に大活躍したスラッガーは、7月もチームのけん引役となる。

 柳田が左中間最深部に豪快なアーチをかけた。3回、今宮の右前適時打で先制した直後の1死一塁。日本ハム有原の低め149キロ直球をフルスイング。「自分のポイントでしっかりとらえられました」。2戦連発の22号2ランで試合の流れをガッチリ呼び込んだ。

 続く5回の第3打席で自打球を右膝下の外側に直撃させた。その打席で交代し、試合中に札幌市内の病院に直行。診断は「右膝蓋(しつがい)骨打撲」。工藤監督は「本人は痛がっていた。トレーナーも代えた方がいいと言ったので。痛みの度合いなどもある。明日(8日)の様子を見てからにはなる」と慎重だったが、骨折などの最悪のシナリオは免れた。

 この日、「日本生命6月度月間MVP」のパ・リーグ打者部門に選出され、練習前に札幌ドームで会見を行った。6月は打率3割6分3厘、12本塁打、31打点と打ちまくり、故障で戦列を離れた内川、デスパイネの穴を埋めた。「ケガはしょうがない部分はある。自分の出せる力で精いっぱいやろうと。背負いすぎてもいけないので」と、結果を追い求めず自分の打撃を追求した。

 6月中にお立ち台で決めぜりふのように口にした「おだやかな心」が、好調の根底にある。あるチームスタッフは「シーズン序盤は判定への不満を顔に出し過ぎていた。でも出さなくなって四球も増えてきた」と話す。厳しい相手の内角攻めなどにも「おだやかな心」で対応することで、すべてが好転してきた。球団は柳田のセ・パ交流戦MVP記念Tシャツの販売を始めた。背中には、しっかりと「おだやかな心」と描かれている。

 この日、4月5日以来の首位に浮上した。7月に入っても5試合で打率3割6分8厘、2本塁打、6打点と打ちまくる。右膝の状態は気がかりだが、リラックスして打席に入り続ける限り、7月も柳田のバットは勢いが止まらない。【石橋隆雄】

 ▼ソフトバンクが5連勝で4月5日以来の首位に立った。4月は楽天とソフトバンクの同率首位で、ソフトバンクの単独首位は今季初。楽天は開幕日から守った首位の座を初めて明け渡した。パ・リーグの順位は、日本ハムが4位→5位となった5月30日から前日まで(1)楽天(2)ソフトバンク(3)西武(4)オリックス(5)日本ハム(6)ロッテと、全球団が同じ順位。パ・リーグの「順位変動なし」は37日でストップした。