「いとおしい」ウイニングボールを手中に収めた。巨人内海哲也投手(35)が阪神12回戦(甲子園)に先発。5回3安打1失点と粘りの投球で4月5日のDeNA戦以来、約3カ月ぶりの2勝目(5敗)を挙げた。4度の登録抹消からはい上がり、背水の気持ちで臨んだマウンド。チームに2カード連続の勝ち越しをもたらした根底には、野球への底なしの愛があった。

 聖地のマウンドで感情をぶつけた。内海が無我夢中に汗を飛び散らした。1回、無死一、二塁のピンチ。超満員の甲子園のど真ん中で自らを奮い立たせた。「これでダメなら1軍はない」。低めを徹底的に意識し、相手打線のクリーンアップに立ち向かい内野ゴロの間の1失点だけで切り抜けた。格好悪くてもいい。4回1死一、二塁も無失点でしのぎきり勝ち投手の権利を得てマウンドを譲った。「めちゃくちゃうれしいです!」と4月5日以来の2勝目を大事に抱えた。

 2軍調整中は口を固く閉ざした。6月15日以来の1軍登板が決まってからも「何も言うことはないです。悔しさをぶつけるだけ。この気持ちは自分以外の誰にも分からないと思うし、分かってほしくもない。全ては自分が招いたことなので」。傷ついたプライドを回復するには、1軍のマウンドで結果を示すしかない。だから、一切の妥協も許さなかった。