オールスターの舞台でも、すごみは変わらなかった。全パ先発の楽天則本昂大投手(26)が第2戦(ZOZOマリン)で、全セを2回3奪三振のパーフェクトに抑えた。自己最速を1キロ更新する158キロもたたき出す快投。前半戦で繰り広げたソフトバンクとのつばぜり合いは、この日のマリンでは一時休戦し共闘。宴を楽しんだ。明日17日からは、パシフィックの覇権争いに舞台を戻す。

 則本の視線の先には好敵手がいた。全セ先発の菅野だ。2回2死走者なし。ゲレーロを迎えると、三塁側ベンチ前を見た。キャッチボールをしている菅野と目があった。「真っすぐ行け」とジェスチャーで伝えられた。分かったとばかり、初球からリミッターを外した。高め156キロでファウル。2球目も全力全開だ。さらに高めにふかす158キロ。捕り損ねた捕手の田村を「風でめっちゃ伸びてホップした。ついて行けなかった」と驚かせた。球場がざわつく中、則本は再び菅野と目があった。「もっと真っすぐ行けと。それで、真っすぐ行きました」。154キロで押し込み、二飛に打ち取った。

 自らの言葉を覆した。試合前に球速を期待され「出る感じはしないです」と即答した。ところが、これまでを1キロ更新。「ボール球だったので。でも、スピードガンで出たのは良かったですね」と素直に喜んだ。

 狙っていたことがあった。「岸さんから4つ以上、三振を取ってこいと」。岸が西武時代の14年、球宴で記録した数を目標とした。初回2死まで三振なし。2イニングしか投げないので、早くも後がなくなった。ここで、かつての同僚マギー。2球で追い込み、高め154キロで空を切らせた。2回は先頭筒香を内角152キロで見逃し。去年の球宴で1発を打たれた相手にお返しだ。「田村君と話したとおり、インコースで決められた」。阿部はフォークを振らせ、3者連続三振。ゲレーロの二飛で、惜しくも先輩には1つ及ばなかったが「十分です。岸さんに連絡して『すごいですね』と言っておきます」と笑わせた。

 前半戦に8試合連続2桁奪三振。無双の働きで首位を行くチームを引っ張った。「球宴の方が三振を取りにいく配球になる。それで取れたのは別の喜びですね」と勝負を楽しんだ。さあ、後半戦。追いすがるソフトバンクを突き放す準備はできている。【古川真弥】