ロッテ伊東勤監督(54)が通算600勝を挙げた。抑えの内からウイニングボールを渡されたが「五右衛門(勝利投手の石川)に渡しちゃった。600と書いておけと言って」。記念球には無頓着で、手元に1つも残っていないという。

 打線を大幅に組み替え、貧打を打開した。最近2試合で合計5安打1得点。17イニング連続無得点中だった。4番に置いたのは42歳の井口。ベンチ裏での試合前取材中、偶然近くにあった井口のバットを手に取り「打てますように」と何度もこすっていた。「2安打に適時打も打ってくれた。他の人にメッセージを送るような打撃。若い人が後に続くように、いい刺激になった」と感謝した。

 井口が見せたベテランの味は、配球の読みだ。「変化球に目を付けていた。元々僕への配球では多い」と井口。第2打席は初球のカーブを中前打、5回の第3打席はフルカウントから外角に逃げるスライダーを左前に運んで適時打とした。「追加点が取れてよかった。石川が頑張ってたし」。第1打席では直球に空振り三振したが、狙い球を変えなかった。引退発表後、プロ人生を歩み出した古巣ヤフオクドームでの初安打、初打点は、若手への手本となる打撃だった。

 井口は、伊東監督の600勝到達に自らのバットで花を添え「いい形で勝ててよかったです」と祝福した。スタメン抜てきされた途端に連敗を2で止め、後半戦に限れば貯金1。引退が惜しまれる。【斎藤直樹】

 ▼監督通算600勝=伊東監督(ロッテ) 23日のソフトバンク15回戦(ヤフオクドーム)で達成。通算成績は600勝595敗14分け、勝率5割2厘で、西武時代に287勝、ロッテで313勝を記録。600勝到達は史上23人目。現役では梨田監督(楽天)762勝に次いで2人目。