DeNAラミレス監督がこだわって組み上げた下位打線で、DeNAが単独2位に浮上した。2回。5番宮崎が食らった死球を合図に、9番倉本まで安打-先制適時打-盗塁-2点適時打と攻めた。攻撃時間約30分、阪神先発の小野に41球も投じさせ、脂っこく奪った3点。ラミレス監督が「下位打線が打点を稼いでくれたのが良かった」と言う通り、最後までものを言った。

 見逃せないのは梶谷の先制タイムリーで無死一、三塁となり、打席を迎えた「8番投手」ウィーランドの場面だ。今季3人しかいない、ホームランを打っている投手。バッテリーは打者との勝負に集中した。梶谷が4球目にスタートを切り、したたかなウィーランドはアシスト気味の空振り。送球を諦める盗塁が決まった。二、三塁とし、倉本の2点打へ準備を整えた。

 7番梶谷。8番投手。9番倉本。どれも開幕の構想にはなかった。周囲の雑音に動じず、理想の打線を追い求めてきたラミレス監督の胆力が、節目の試合で機能した。「8番投手」は疑問の声が多かったが、特に打力のいい投手の場合は威力を発揮する。V9時代の初期、川上哲治監督が好んで使った手だ。「2位まで長い道のりだった。今後は3位との差を広げていく」とラミレス監督。1カ月半で阪神との8ゲーム差を追い抜いた。広島もコツコツ詰める。【宮下敬至】