阪神新外国人ジェイソン・ロジャース内野手(29=パイレーツ3A)が希望の1発をかっ飛ばした。3点を追う8回、パットンから中越え3号ソロ。“パンダ砲”の甲子園1号が、満員のホームをこの日一番沸かせた。チームは3位後退したがロジャースは7戦3発の奮闘で、シーズン終了時27本塁打ペースの量産態勢。虎のパンダよ、今日も打って一夜で2位を奪い返してくれ!

 4番ロジャースが、ジメっとする甲子園に爽やかな風を運んだ。3点ビハインドの8回だ。上本、福留が内野ゴロに倒れた2死走者なしの場面。米国時代にも対戦経験があるパットンの初球149キロをフルスイングした。ライナー気味の打球が、大声援に包まれてバックスクリーン左横にズドン。本拠地初アーチとなる3号ソロに、黄色いスタンドが揺れた。

 「積極的にいこうと思っていた。走者が出ることが大事だと思っていたから。(大歓声を浴びて)気持ちよかったよ」

 諦めない。3点を追う7回もそうだった。先頭で打席に立つと、追い込まれながらもウィーランドのカーブにバットを合わせる。あと30センチ高ければスタンドインという左翼フェンス直撃の二塁打をマークした。その後、西岡の併殺崩れで生還。4番が放ったヒットからこの回、チームは3安打2得点と反撃。劣勢でもベストを尽くす。これが虎のパンダだ。

 185センチ、117キロの大男だが、心は優しい。左手には白い数珠に似たブレスレットを試合中もつける。心臓病患者サポートを呼びかける意味があり、日頃から身につけている。この日は練習の合間に一塁側ベンチにドッカリと座り「ここは(米国の)地元より暑いよ」と汗をぬぐった。愛らしい言動と、心優しい性格。すっかりチームの人気者だ。

 「自分としてはチームを助けるために日本に来ている。どの打席も大事。全打席集中してやっていきたい」

 チームは3位落ちの苦境だが、ロジャースの存在は光だ。糸井不在のピンチから緊急昇格して7月18日広島戦でデビュー。そこから7試合で24打数9安打、打率3割7分5厘、3本塁打、8打点と目を見張る大活躍だ。ロジャースならやってくれる。「パンダにつなげ!」が合言葉だ。【桝井聡】

 ▼ロジャースは18日広島戦での初出場から7試合で3本塁打。チーム残り56試合にこのペースを維持したとすると、24本塁打を上積みし、年間27本塁打に達する。阪神に途中入団した外国人選手のシーズン最多は、09年ブラゼルの16本塁打。大幅更新の期待も抱かせる爆発ぶりだ。