ソフトバンク東浜巨投手(27)がプロ5年目で初となる10勝目を挙げ、リーグトップに並んだ。楽天岸との投げ合いを制し、7回1/3を5安打1失点。過去5戦5敗と鬼門だった仙台の地で初勝利を手にした。「負けられない気持ちだった。首位決戦で連敗せず、1つ勝てたのは大きい。5年目で初めて10勝いけたのはよかった」。穏やかな表情で息をついた。

 終盤に失速し、9勝に終わった昨年の教訓が生きている。今季は1年間フルで戦える体づくりを行いながら、シーズンを戦ってきた。登板前にはブルペンに2度入り、ウエートトレーニングも欠かさない。この日の最速は7回に記録した148キロ。地道な努力がスタミナ増にもつながり、今ではエース格の存在だ。4回には右足親指にマメができたが「今日は下(半身)が使えていたから」と“なんくるないさー”の精神で乗り切った。

 沖縄出身では06年に13勝を挙げた球団OBの新垣渚以来、11年ぶりとなる2桁勝利。そんな男の活躍は郷里の大きな励みになっている。出身地のうるま市では昨年から、応援会の宮里薫さん(58)が中心となって「巨(なお)メーター」を制作。東浜が勝ち星を挙げる度に勝ち数が記された横断幕をつくり、市内の交差点に掲げている。10勝目は倍の大きさの横断幕を作る予定だという。東浜も「今年もやっていただいているんですね。ありがたいですね」と感謝する。

 工藤監督も目を細めた。「連敗はとにかく避けたかった。内容のある投球をしてくれた」と、楽天戦の連敗を3で止めたチーム勝ち頭を称賛した。楽天とのゲーム差を1・5差に戻し、チームにとっても戦いはまだこれから。東浜は「10勝がゴールではない。まだまだ僕らは2位なので、しっかり食らいついていきたい」と責任感をにじませた。【福岡吉央】