ソフトバンク東浜巨投手(27)がプロ5年目で初となる10勝目をあげ、再びリーグトップタイに並んだ。楽天岸との投げ合いを制し、7回1/3を5安打1失点の好投。雨天のため25日の先発からずれたが、過去5戦5敗と鬼門だった仙台の地で初勝利を手にした。チームの楽天戦の連敗も3でストップ。首位とのゲーム差も再び1・5に戻した。

 東浜が壁を突き破った。鬼門だった仙台でテンポよくアウトを重ね、8回途中まで98球の熱投だ。首位楽天にこれ以上離されるわけにはいかない首位決戦。チームにとって大きな1勝で、昨季はね返された2桁勝利の関門を突破した。

 「2つは負けられない気持ちだった。今日は調子がよかったし、しっかり試合をつくることができた。1つ勝てたのは大きい」

 終盤に失速し、9勝に終わった昨年の教訓が生きている。今季は1年間フルで戦える体づくりを行いながら、シーズンを戦ってきた。登板前にはブルペンに2度入り、ウエートトレーニングも欠かさない。この日の最速は7回に記録した148キロ。地道な努力が結果につながっている。「5年目で初めて10勝いけたのはよかったが、10勝がゴールではない」。今やエース格の右腕は語気を強めた。

 この時期、屋外では珍しい午後2時開始。最高気温は27・5度にとどまった。過去5戦5敗の敵地も「もともと、そんなに嫌なイメージはない」とポジティブに集中力を高めた。4回には右足親指にマメができたが「今日は下半身が使えていたから」と、なんくるないさー精神で乗り切った。

 沖縄出身では06年に13勝をあげた球団OBの新垣渚以来、11年ぶりとなる2桁勝利。そんな男の活躍は地元でも島人(しまんちゅ)の大きな励みになっている。出身地のうるま市では昨年から応援会の宮里薫さん(58)が中心となって日本最南端の「巨(なお)メーター」を制作。東浜が勝ち星をあげる度に勝ち数が記された横断幕をつくり、市内の交差点に掲げている。10勝目は倍の大きさの横断幕を作る予定だ。東浜も「今年もやっていただいているんですね。ありがたいですね」と感謝する。

 工藤監督も「連敗はとにかく避けたかった。内容のある投球をしてくれた」と、楽天戦の連敗を3で止めたチーム勝ち頭を称賛した。楽天とのゲーム差を再び1・5差に戻した。東浜は「まだまだ僕らは2位なので、しっかり食らいついていきたい」と先を見据えた。【福岡吉央】