連勝が止まっても、バットは止まらない。西武山川穂高内野手(25)が5回に5戦連続打点となる8号3ラン。首位ソフトバンクからのカード勝ち越しを引き寄せた。上位2強との6連戦で11安打、4本塁打、14打点の大暴れ。前夜にチームの連勝は13でストップしたが、赤い獅子の勢いは全く衰えていない。

 胸をのけぞらせ、ヘルメットはズレた。5回2死一、二塁。おなじみとなった山川の豪快なフルスイングにつぶされた打球は、左中間席に消えた。通算1勝12敗の天敵武田をKOする会心の1発。「打った瞬間いくなと。何としても、勝ちたいと思っていた。最高のホームランでした」と胸を張った。

 先輩の全力プレーに燃えた。直前の1死一、三塁。浅村が投ゴロで一塁にヘッドスライディング。主将が泥だらけになり、勝ち越しの1点を奪った。「浅村さんが死ぬ気でやっている姿を見せられたら、僕も頑張らないといけない」。気合をバットに込め、流れを引き込むアーチにつなげた。

 前夜に連勝が13で止まったが、チームの意識はカード勝ち越しへと切り替わっていた。辻監督は、連勝中と変わらぬ姿勢で試合前練習に取り組む選手を見つめて言った。「連勝の流れの中で選手が“その気”になってくれたのが大きい。今までは(4位オリックスに)しっぽをかまれないか気にしていた部分があったけど、上2つが見えてきた。昨日負けはしたが、この緊張感を忘れず力にしてほしい」。仕切り直しのミーティングを行わずとも伝えたいことは伝わっていた。

 「今日が大事」と位置付けていた一戦で快勝。指揮官は「勝ちたい気持ちが見えたし、頼もしく感じた」とたたえた。楽天、ソフトバンクとの6連戦を5勝1敗。山川は「勝ち越せたのは大きな自信になる」とうなずいて続けた。「僕は絶対に慣れちゃいけない立場。チャレンジャーの気持ちを忘れずにいきたい」。大逆転Vへ、力強く再スタートを切った。【佐竹実】