阪神の意地の反撃は報われなかった。京セラドーム大阪の地下駐車場。ベテラン鳥谷が徒労感をにじませる。「チームが勝たないと…」。久しぶりの先発藤浪を援護できず、苦手の大瀬良を攻略できない。片岡打撃コーチも「もうひと押しというところ」と悔やんだ。

 一矢報いたのは3点を追う6回だ。2死三塁。好調な鳥谷が2ボールからの3球目、真ん中カットボールをとらえるとライナーで左中間最深部へ。チーム初得点の適時二塁打になった。この日は2安打。7試合連続安打で2000安打まで22本にカウントダウンだ。

 さらに鳥谷を二塁に置き、不振の北條が存在感を示した。遊撃大和の負傷交代で3回守備から緊急出場。低め速球を完璧にすくい上げ、ライナーで左中間を破る。2者連続の適時二塁打で1点差に迫った。北條は言う。「前の打席で見逃し三振してしまった。真っすぐに遅れないように。巻き返す気持ちでやります」。今季は遊撃の最有力に挙がりながら、結果を残せず。4回は3球三振だったが汚名をそそぎ、5月10日巨人戦(東京ドーム)以来、3カ月ぶりの適時打だ。

 天敵攻略が今後の課題なった。大瀬良に今季4戦で3敗。崩しきれずに白星を献上してしまった。敗戦のなかで、救いは4番ロジャースに当たりが戻ったことだ。「最高ではないが、どの打席もここ数日に比べると良かった」。この日は4回に中前打を放ち、11日DeNA戦以来、16打席ぶりの安打。6回も反攻の口火を切る二塁打だ。好感触を得て次戦へと向かう。【酒井俊作】