ソフトバンクが2位楽天との3連戦初戦を完勝で飾った。先発の東浜巨投手(27)が7回を投げて3安打5奪三振で1失点。ハーラー単独トップの13勝目を挙げた。昨年7、8月の夏場に負け越した東浜だが、今季はこれで7月7日の勝利から6連勝。たくましく成長を続ける右腕の活躍で、チームは楽天とのゲーム差を4・5に広げ、いよいよ独走気配を漂わせ始めた。

 小雨が降り、霧のかかる敵地仙台で、首位固めを狙うホークスに確かな光が差し込んだ。3連敗なら2位に転落する首位決戦の初戦で、チームに白星を運んだのは東浜だった。7回3安打1四球の安定した投球で、茂木、ペゲーロが復帰した楽天打線を封じ込めた。

 「調子はよかった。前回5失点で勝ちをつけてもらったので、今日は自分がしっかり抑えてやろうと思っていた。攻めの投球ができた。勝てたのが何より」

 今年はシーズン終盤のスタミナを考え、週2回ブルペン入りし、登板に備えるのが常だったが、今回は疲労を考慮し、ブルペン入りを1回にした。「(疲労で)体も思うように動かないことも正直ある」中で、コンディションを優先。そして序盤から決め球シンカーを積極的に使う攻めの投球を貫いた。4回に1発を浴びたが、5、6、7回は3人でピシャリ。中7日で楽天とのカード初戦に起用したベンチの期待に応えた。

 前日17日には、ヤフオクドームがコンサート設営準備で使用できなかったため、ドームに隣接する公園で練習。野球少年たちが草野球を楽しむ横でキャッチボールを行い、自身の原点を思い出した。「ああやって楽しくやっている時期もあった。すごく新鮮でした」。沖縄の強い日差しを受け、団地の公園で白球を追いかけた日々。「人の家のベランダによくボールを入れて、取りに行ってましたね」。今では毎年オフに沖縄に帰ると、少年野球時代の監督が温かく迎えてくれ、後援会の立ち上げも計画してくれている。

 これで6試合連続白星。昨年は夏場の7、8月に8戦2勝5敗と苦しんだが、今年は6戦6勝。工藤監督も「もともとトレーニングもストイックにやってくれる子だが、すごく自覚も出てきて、投球にも結果にも表れている。この調子でいってほしい」と、先発の柱としての役割を期待する。

 13勝3敗となり、最多勝、最高勝率の2冠獲得も、もはや夢ではない。「ここからプレッシャーのかかる試合が増えていくと思うが、しっかりやっていきたい」。今季最多となった35の貯金のうち、1人で10を稼ぎ出している東浜。頼れる勝ち頭が今の先発陣の中心にいる。【福岡吉央】