2軍での経験が生きた。右肩の違和感で4月末に登録抹消。約2カ月間「反復練習してきた」と、低く沈み込むフォームの体重移動を磨いてきた。右スネに土が付くことを好調のバロメーターとする土肥投手コーチは「真っすぐが中盤からうなり始めた。低めも高めも、独特の吹き上がる感じが出てきた。リリースが前で離せている」と絶賛した。

 投球の9割以上を直球とスライダーが占め、重心を低く保つ独特のスタイルだ。お手本はヤクルト伊藤智仁(現投手コーチ)。先輩の山川に昨年「似ている」と言われ動画を検索。「改めて動画を見て、あのスライダーは本当にすごいと思った。強烈でした。真っすぐを磨いて、ああいうスライダーを投げられる投手になりたいと思いました」。くしくも伊藤が初登板勝利を挙げた93年4月、多和田は産声を上げている。

 沖縄生まれだが、暑いのは苦手だ。スムージーを自作し、体力温存を図っている。遠征先で自作は難しいが、朝食では好物のパイナップルと野菜を食べて、ビタミンを補う。湿度が低くて涼しい北海道で、プロ入り後、最高の投球を見せた右腕。上位球団追撃に向け「自分の投球をすれば今後も大丈夫です」と頼もしい言葉を残した。【斎藤直樹】