阪神秋山が1年間の成長を示す今季11勝目をマークした。1点を先制した1回に同点に追いつかれると、早々に決断。普段はグラブをゆったり頭上に掲げる投げ方だが、2回からセットポジションに切り替える。「状態が今年一番、悪かったので、何とかしないと」。3回、バレンティンに2ランを浴びたが、その後はリズムを取り戻した。

 不調でも立て直すのが勝てる投手の条件だ。コンビを組む坂本とも「ボールの高さに気をつけていきましょう」と話し合った。球を低めに集める。コーナーを突く。球威を犠牲にしても制球力に頼った。4回2死一塁。奥村を内角速球で見逃し三振に片づけると、5回以降は4イニング連続3者凡退と小気味よい。球数も回を追うごとに減らし、8回92球3失点にまとめた。

 7月以降は自身初の5連勝。得意のビジターで今季9勝の荒稼ぎだ。骨折離脱したメッセンジャーと並ぶチーム最多の勝ち数で、いまや先発陣の大黒柱。「この時期、頑張るために春から頑張ってきた。メッセの存在は大きく、そこまで背負えないけど、おととい、昨日と中継ぎが多く投げている」。与四球数11個は両リーグの規定投球回数到達投手で依然、最少。主役級の働きだ。【酒井俊作】

 ▼秋山の現在の与四球率(9イニング平均与四球数)は0・79。セ・リーグの過去最高は82年江川卓(巨人)0・82で、これをしのぐ与四球の少なさを誇る。なおプロ野球最高は50年野口二郎(阪急)0・69。