再進撃じゃ~! 広島は、田中広輔内野手(28)がプロ初の満塁本塁打を放ち、優勝へのマジックを20に減らした。2回2死満塁。2ボールから3球目のスライダーを右翼ポール際に運んだ。打球は右に曲がることなく一直線でスタンドへ。「いい回転で打てたので、切れずに飛んでいった」と決勝の先制満弾を振り返った。

 広輔コールで上がったお立ち台は今季、ビジターを含めて初めてだった。「1番遊撃」でフルイニング出場を続け、打率2割9分4厘、リーグトップの29盗塁を決めているが「僕のなかではいいこと。目立つ選手がいるので、僕としては少しでも貢献(お膳立てが)出来れば」と真面目に言う。1番打者が目立っては、チームは強くない。「1回もない方がよかったくらいです」と笑った。

 田中を使い続ける緒方監督も成長を実感している。昨季のクライマックスシリーズで打率8割3分3厘をマークした勝負強さに加え、我慢が出来るようになった。「とにかく見極めが出来るよね。課題だった縦変化の見極めが出来て、待てるようになった。カープのリードオフマンとして立派に仕事をしている」。出塁率も3割8分8厘をマーク。広島打線を引っ張る。

 チームは3戦連続サヨナラ負けの「横浜の悪夢」を完全に払拭(ふっしょく)。連勝で今季の中日戦の勝ち越しが決定。「いい流れで来ている。明日も勝って、3連勝を」と田中。たまには目立つのも悪くない。【池本泰尚】