若虎祭りで5連勝だ! 阪神2年目の坂本誠志郎捕手(23)が、プロ初の3安打&4打点の大活躍で12安打9得点の快勝を導いた。2回にチーム5年ぶりの甲子園4本塁打の口火となる1号3ランを放つと、6回にも中押し適時打。開幕前の右手骨折で出遅れた男が、リードもさえて9月以降では08年以来の貯金17を導いた。首位広島も勝ち、5・5差は変わらないが、今日も勝って、週明け5日からの直接対決3連戦に臨むぞ!

 割れんばかりの歓声の中心で、坂本は無我夢中でダイヤモンドを回った。ベンチに戻ると、金本監督や矢野コーチを始め、選手たちから手荒く祝福された。これがプロ2本目の本塁打で甲子園1号。自分が3ランを打ったんだと実感した。

 坂本 緊張してあんまり覚えていないですね。次の1点がほしかったんで、取れて良かったです。

 1点リードの2回。1死一、二塁の場面。初球はカーブで空振り。だが頭脳明晰(めいせき)な23歳は、「甘い真っすぐがきたら逃さない」と整理していた。小熊が投じた内角135キロの速球をジャストミート。打球はグングン伸び、左翼席に飛び込んだ。1号3ランで点差を4点に広げた。

 本塁打だけではない。4回の中前打に続き、6回には左前へ中押しタイムリー。3安打も4打点もプロ入り初の大暴れだ。リードもさえ、能見を6回2失点で2試合連続勝利に導いた。

 初本塁打は昨年8月24日DeNA戦。手元に返ってきたメモリアル球は、大好きだった亡き祖父の写真の横に飾っている。今度は念願の「甲子園初本塁打」。天国のおじいちゃんも喜んでいるに違いない。

 3月のオープン戦で右手親指を骨折し、鳴尾浜の寮で開幕を迎えた。「悔しい気持ちはありました。チャンスがきたら、アピールするしかないと思っていました」。自身がいない間、正妻は梅野が確保。その差を埋めようと毎日が必死で、7月初旬に1軍復帰した。金本監督も意地を見せた男の姿に飛びきりの笑顔だ。

 金本監督 期待以上の活躍。4打点ですから。よくやってくれた。振る力が足りないだけで、スイング自体は悪い印象はそこまでない。打撃を期待して出しているわけじゃないけど、打つに越したことはない。

 この日は23歳の坂本に負けじと、22歳の大山も4番初アーチを描き、23歳植田もプロ初スタメンで初安打。若虎祭りで、貯金も9月以降では08年以来の17まで増やした。首位広島も勝ったため、ゲーム差は5・5のまま。坂本は言った。「まだ試合も残っている。もう1度、気を引き締めてやりたい」。週明け5日からの直接対決3連戦を盛り上げるために、今日も攻守で勝ちを導く。【山川智之】

 ◆坂本誠志郎(さかもと・せいしろう)1993年(平5)11月10日生まれ、兵庫県生まれ。履正社では1年夏からベンチ入りを果たし、2年夏と3年春の甲子園に出場。明大では主将も経験した。15年ドラフト2位で阪神に入団。昨季28試合に出場して打率2割、1本塁打、2打点だった。176センチ、79キロ。右投げ右打ち。