【2】契約の見直しについて

 当球団はトラブル発覚当初、山口投手に対し、上記の判断から契約解除もやむなしとの考えを伝え、複数年契約を見直して来期以降の契約を解除し自主退団する方向で話し合いが進められました。

 ところが、途中から選手会の森忠仁事務局長と松本泰介弁護士の2人が、山口投手の交渉窓口として球団との協議に登場しました。

 選手会は、山口投手のトラブルと予告先発回避の記事が出た7月19日以降、山口投手と連絡を取って、被害者との示談の推移や球団との交渉経緯についてヒアリングを続けていたといいます。一方で、選手会は山口投手に対し「自主退団は厳し過ぎる」「他の選手にも影響が出る」などと迫ったため、山口投手は「自分では判断できない」として、選手会に話し合いを委ねることにしました。

 山口投手の契約をめぐる話し合いは本来、山口投手と球団で行うべきものですが、こうした経緯があったため、球団は選手会との話し合いに入りました。

 8月2日から始まった選手会との協議では、自主退団を前提にした話し合いが行われました。しかし、その後、球団内部で山口投手に対する処分等を検討する中で、トラブルが表面化して以降、山口投手が断酒を続けるなど猛省していること、自宅謹慎を守りながらトレーニングマシーンを購入して熱心に体力維持を心掛けていること、山口投手が巨人軍を退団した後もNPBチームでの選手活動が確約されているわけではないこと、海外での選手活動も大きな困難が伴うことなどを考慮した結果、「30歳という若き才能ある選手にもう一度チャンスを与えてもいいのではないか」「プロの野球選手として、犯してしまった過ちは今後のプレーで償わせてはどうか」などの声が上がり、来季も巨人軍で選手活動を続けてもらうという選択肢も考えることにしました。

 8月5日の選手会との協議の途中、松本弁護士から「山口投手はジャイアンツに戻りたいと本音では思っている」「球団に対し、ジャイアンツに戻りたいと言っていいかどうかわからなかったそうだ」との発言がありました。

 この発言を受け、当球団の石井一夫社長から「山口投手にあと1年チャンスを与えるという考えもある。年俸は変えない」と新たな契約見直し案を提示したところ、松本弁護士は「ありがたい。ジャイアンツでプレーするという希望は99%受け入れられないと思っていた。今日聞いた話をきちんと本人に伝え、早急に返答したい」などと回答。山口投手、球団、選手会がいずれも納得できる新たな契約見直し案を進めていくことになりました。