【4】NPBへの要請等について

 選手会は8月25日付でNPBの熊崎コミッショナーと実行委員会宛てに「要請」文書を、当球団の石井社長宛てに「抗議」文書を、それぞれ送達しました。28日には報道各社に「読売巨人軍による山口俊選手への処分等に関して」と題する文書を公表しました。

 選手会は実行委員会への「要請」文書や報道各社に宛てた文書の中で「(巨人軍と)当会との折衝」「当会としても(処分や契約見直しの)その過程で対象選手から事情を聴取し、巨人軍と交渉を行うなどして」などと、ことさら山口投手の交渉窓口だったことを強調し、その状態が続いているかのように読む人を誤導させ、あたかも山口投手の意向を受けた「要請」文書であるかのような記述をしています。

 選手会が各種文書の中で、山口投手の交渉窓口と選手会の立場を混同させた表記を行うなどしたため、一部メディアに、選手会の一連の行動は処分や契約見直しに納得できなかった山口投手の周辺から選手会に訴え出たものかもしれない旨の記事が掲載されました。言うまでもなく、そのような事実は一切なく、選手会が独自の判断で行った行為です。山口投手も「選手会が今回、抗議を出すことは知りませんでした。私自身が処分や契約見直しを不満に思い、抗議しているように誤った理解が広まってしまっているのなら、それは事実と異なるので大変残念に思います」と話しています。

 【5】結論

 選手会は処分も契約見直しも不当だと主張し、コミッショナーと実行委員会に対し、適切な調査、裁定、指導その他の合理的な対応、及び、選手会ヘの報告を要請しています。

 処分については、上記説明した通り、選手会が主張するような「明らかに重すぎる不当なもの」ではなく、当球団では「処分は妥当」であると考えています。むしろ、8月18日に当球団が処分を発表した後に球団に寄せられたファンの声は、大半が「処分は軽いのではないか」などというものでした。また、選手会が山口投手ヘの処分は重過ぎるとして球団ヘの抗議やコミッショナー、実行委員会ヘの要請を行った後も、再びファンからは「処分としては軽いくらい」などの意見が多数寄せられました。

 一方、契約見直しについては、本来、契約自由の原則があり、野球協約およびこれに附随する諸規程に違反する事実や、一般法令に違反する事実等がなければ、コミッショナーの調査や実行委員会の審議の対象にはなりません。山口投手との契約見直しにおいて、協約に違反する事実、諸規程に違反する事実はありません。選手会のいう独占禁止法に違反する事実もありません。

 また、本件の契約見直しは、統一契約書そのものの見直しではなく、「覚書」に記載された内容を見直したものです。覚書は、あくまで球団と選手との間の個別で私的な取り決めに関するものです。統一契約書の制度や条項に関する事項について疑義があるなどのケースとは異なり、コミッショナーが調査したり、実行委員会が審議したりするような案件ではないと考えます。なお、当球団は覚書に関する情報は一切開示しておらず、今後も開示する予定はありません。

 選手会は「本件のような事案で契約の見直しが許されるとすれば、長期の拘束を前提とする保留制度に裏打ちされたFA制度の根幹に関わる間題」と主張しています。しかしながら、本件は山口投手が不祥事を起こしたことで行われた契約見直しであり、不祥事等を起こしていない選手に対し、球団側の自己都合や恣意的な判断で契約を見直すようなケースとは異なります。

 以上