広島がリーグ連覇を達成した。2年連続8度目のV。緒方監督が高く舞った。

 「一体感」で勝ち取った連覇だった。

 昨年限りでレジェンド黒田博樹氏が引退。エース左腕のジョンソンも苦しんだシーズンだったが、薮田が台頭。岡田も2桁勝利を稼ぎ、野村、大瀬良は貯金を重ねていった。九里も大きな飛躍を遂げた。救援陣も中崎、今村、一岡、ジャクソンを軸に奮闘。逆転勝利を次々に飾る「逆転の鯉」の下地を作り上げた。

 打線の勢いは「神ってる」16年にも負けないものだった。6月にはバティスタがプロ初打席から代打で2打席連発。セ・リーグと外国人選手では初の記録で、17年版・神ってる男と呼ばれた。もちろん、元祖「神ってる」男の活躍抜きにも語れない。若き4番鈴木はチームトップの90打点を稼ぐなど、負傷離脱するまでチームをけん引し続けた。

 そこに「タナキクマル」の田中、菊池、丸が変わらず機能し続け、ベテラン新井もいた。安部が首位打者を争い、西川も力を発揮し始めた。監督からマツコと呼ばれる松山も存在感を示し、エルドレッドの脅威も変わることはなかった。

 今年1月31日、キャンプ地宮崎・日南市に入ったチームを代表し、小窪選手会長はこう語っていた。「何にも変えられないものが一体感。時に実力以上のものが出るし、全員でカバーできれば、個人が落ちずにすむ」。そして、昨年12月に胃がんを告白した赤松のユニホームを掲げて戦う姿勢をみせ「全員一丸で戦っていきます。もちろん、赤松さんを含めて」と語っていた。

 8月下旬には鈴木が右足首を骨折。その際も緒方監督が「本人が一番悔しいだろう。こういう時こそチーム一丸となって、ひとつになって戦っていく」。離脱した鈴木の思いも乗せてチーム一体となって戦うことを宣言した。

 苦しい時期も仲間と助け合い、鯉党の声援に支えられ、突き進んできた。今年こそ-。広島が昨年逃した日本一に挑んでいく。