ソフトバンク工藤監督が、鍛えた若手が2年ぶりV奪回への大きな力となった。東浜、千賀、岩崎ら。工藤監督が就任1年目の15年、東浜はわずか1勝だった。亜大から鳴り物入りで入団した13年は、球速も直球が140キロ出るかどうかだった。工藤監督は「それは全体的な出力が低かったということ。上げれば球威やボールのキレに表れるでしょ。あまりトレーニングをしてなかったみたいだね。レベルを上げるのにそんなに時間はかからない」と、鍛えれば絶対にモノになると確信していた。

 昨年は東浜が「試合の日が一番楽」とこぼしたように、シーズン中も筋力トレーニングを続けさせた。夏場に腰を痛め、9勝に終わった。だが、昨年で1年間の流れをつかんだ東浜は、自分の体調にトレーニングの量を調整するようになった。和田、武田、千賀と先発陣の柱が故障で離脱する苦しい夏場の7、8月に6連勝。昨年の失敗をムダにしなかった。

 今では直球は最速151キロ、決め球シンカーが140キロ前後まで、球速がアップした。チームの勝ち頭として優勝に貢献した東浜は「今年の優勝はやっぱり今までとは違いますね」と初めての充実感を味わっている。昨年、「サボるな」と怒鳴った千賀も同様に自分で考えて鍛えるように成長した。岩崎も70試合近い登板数にに耐える強靱(きょうじん)な体力を身につけた。

 工藤監督は「今年と同じことをやっていては、来年は勝てない。もう1段階上げて鍛えないといけない」とさらなる高みを目指し、課題を与える。豪腕たちのさらなる進化が楽しみだ。【ソフトバンク担当 石橋隆雄】