11年連続のCS出場を目指す4位巨人が、土俵際で踏みとどまった。最下位ヤクルトに初回2失点と最悪の幕開けも、3回に4得点で逆転に成功。5日中日戦以来15試合ぶりの逆転勝利で、連敗を2で止めた。3位DeNAが勝ったため、ゲーム差は変わらず1・5のまま。高橋由伸監督(42)は「一気に逆転できたというのが良かったですね」と、勝利をかみしめた。

 百戦錬磨の4番が勝負の潮目を見逃さなかった。3回2死からヤクルト・ブキャナンが3連続四球。阿部は右腕の心中を察し、初球の真ん中直球を捉えた。詰まり気味ながら中前に落とし、二塁走者マギーも生還。11試合ぶりの打点が同点の2点適時打となり「積極的にというのはあった。どんな形でもいいという思いで打席に立った。二塁走者に優しい安打だったね」。指揮官も「技術もそうですし勝負勘であったりね。やっぱりさすが」と最敬礼した。

 主軸の一打が、直近5試合6得点の打線に勢いを呼び込んだ。村田が右前適時打で続けば、亀井も初球を右前に運んだ。4回には坂本勇も初球を右犠飛と、11試合ぶりに3~5番がそろって打点を挙げた。阿部は「こういう状況の中で、なんとかクリーンアップが結果を出していけば流れもつくれる」とうなずいた。

 CSへの黄信号はともったままだ。今日の結果次第では2位が消滅。打線も2併殺で今季125併殺として球団のシーズンワースト記録を更新するなど、まだ復調途上にある。それでも、粘り強く勝負を制した。残り6試合。高橋監督は「とにかく結果がすべて」と力を込めた。【浜本卓也】